4月1日号紙面:「復活信仰」を深める名著 『新版 キリストの復活』 メリル・C・テニイ著
もう五十数年も前のことになります。私が神学生だった時、当時来日中のメリル・C・テニイ先生がわが校に立ち寄られ、チャペルでのメッセージと一つの講義を受け持ってくださったのです。今回本書の書評を依頼され、そんなことを思い起こしました。先生は当時60歳前の年齢で、学者として最も円熟した時期ではなかったかと思います。
本書はだいぶ前に出版されたものですが、昨年装いも新たに新版として出版されたものです。「はじめに」を見ると、「この本は1944年のイースター前に、ホイートン大学の礼拝説教として語ったものです。他のものは、別の機会に語ったもの、あるいは、新しく執筆したものです」とあるように、これはもともと学生への説教であり、復活信仰についての勧めが主な目的でした。英語版の出版の時期もかなり前のことになります。しかし、今日でもその内容において新鮮さを失っていないのは、主キリストの復活について聖書そのものに基づいて論じられ、勧められているからです。そのことは各章の初めにまず聖書本文が掲げられ、それらを丁寧に解説する方法を取っていることからも分かります。本書はわずか125頁の小著でありながら、8章に分けられ、復活を理解する上において必要なテーマが展開され、非常に濃密な、そして、豊かな内容が盛り込まれています。
その目的については「復活の詳細を誇ろうとするものではなく、読者の方々にこの真理の無尽蔵な鉱脈をさらに探求していただくための呼び水を提供しようとするものです。これらのすべては、復活の確実性という中心的テーマについて、長い時間にわたって黙想しているうちに生まれたものです」と記されています。復活信仰がテニイ先生にとっても大きな課題であったことを思わせる言葉です。
読者は本書を読むことによって、主キリストの復活が事実であること、またそれが信徒一人一人にとって、また教会にとって、さらには世界にとってどのような意味があるかについても理解が深められ、信仰が高められることでしょう。
最終章冒頭の使徒パウロの言葉「どうにかして、死者の中からの復活に達したいのです」(ピリピ3・2)、これが本書の結論です。キリスト者の最終目的はここにあります。そのためにも本書が必ずやお役に立つことでしょう。イースターを機に一読をお勧めします。
(評・佐藤強=日本キリスト改革派教会引退牧師)
『新版 キリストの復活』メリル・C・テニイ著 いのちのことば社 1,404円税込 四六判
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