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 詩画作家星野富弘さんを支えた母親の知野さん(97歳)が4月26日、病床で洗礼を受けた。洗礼式の司式は内田和彦牧師(JECA・前橋キリスト教会)。体育教師だった星野さんは1970年に事故で手足の自由を失った。病床での母親の献身的な介護の姿は、星野さんの著作『愛、深き淵より』(立風書房)や『ことばの雫』『いのちより大切なもの』(いのちのことば社)などに言及され、詩にも表現されている。入院中は3度の食事の手助けや様々な介護に知野さんがつきっきりだった。病床生活で星野さんの積もっていたいらだちが爆発するときも受け止めた。星野さんが結婚するまで、詩画制作のために、絵の具を溶かしたり、紙をセットするなどして支えてきた。

 このようなエピソードがある。星野さんが入院して、人工呼吸器につながれ、熱にうなされていたとき、母は「わが身を切り刻んででも生きる力を富弘の体の中に送り込みたい」と思ったという。星野さんは後に「私は、それほどの愛に応える術をもっておらず、何も言うことができませんでした」(『いのちより大切なもの』)と振り返った。そのような知野さんへの思いが、『ぺんぺん草のうた』と言われる詩に結実し、後にゴスペルシンガーの岩渕まことさんによって作曲され歌われるようになった。

 知野さんの洗礼式当日、星野さんは「うれしくて地に足がつかない」と喜びを語った。知野さんの信仰告白の模様については、星野さんと親交があり、知野さんの病床を訪問し続けた多胡元喜さん(いのちのことば社名誉会長)が振り返った。

「お母さんの手は大きくて、温かくて、しっかりした手だね。この手で、富弘さんを育て、絵の具を作ったんだね。すばらしい働きをされましたよ、ありがとう。富弘さんが一番願っていることは、お母さんと天国でも会えることですよ」と語ると、知野さんはうなづいた。「イエス様を信じますか」という問いかけにも大きくうなづき、信仰告白の祈りをともに祈ったという。



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