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 「慰霊の日」の翌日6月24日には、沖縄キリスト教平和総合研究所主催の特別講演会が、沖縄県中頭郡西原町の沖縄キリスト教学院で開催された。単立・ビサイドチャーチ東京牧師で、特定秘密保護法に反対する牧師の会(牧師の会)共同代表の安海和宣氏が講演した。

 同所長の内間清晴氏は「地上戦で県民の4分の1の命が失われた沖縄は平和問題に無関心ではいられない。日曜午後様々な集会と重なったが50人が集った。日本基督教団だけではなく福音派の人も集った。福音派の牧師が平和問題に関わることに関心が持たれた。学生、教職員、教会関係者、地域の人々が集い、町長からも電報が届いたのには驚いた。地域からの期待を感じました」と語った。

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 安海氏は、今回の訪問で沖縄の戦後史や米軍基地を目の当たりにしたこと、前日の沖縄全戦没者追悼式で読まれた中学生の詩への感動などに言及し講演を始めた。

 牧師の会設立の経緯を述べ、「私はアクティヴィストになって社会運動を起こそうという目的や目標はない。ただただキリスト者として、牧師として自らの信仰を告白し、キリストの平和をもたらす者でありたいと一歩踏み出す。そのときに、想定しなかった方々と出会い、国会前で、国会議員会館集会室で、そして法廷で、キリストの平和のメッセージを語り、キリストの平和を求める祈りを共に祈る機会が開かれていった」と言う。このような行動の柱は、「世の光」「地の塩」の使命を果たすためと、暴力、、欲望を強める「獣化していく国家」にうためだという。

 安保法制違憲訴訟の原告としても意見陳述をした。同訴訟の陳述書をまとめた『私たちは戦争を許さない—安保法制の憲法違反を訴える』(岩波書店)がある。

 安海氏が戦争と平和に関心をもった背景には、宣教師の子として、生まれ育ったインドネシアと米国留学時、9・11に遭った体験がある。インドネシアでは日本軍による住民虐殺事件「ポンティアナック事件」について紹介。米国留学中、社会が戦争一色に染まり神学校もそのあおりを受けた状況を述べた。

 2016年に日本の世界報道自由度ランキングが72位に後退したこと、政府が安全保障の危機感を扇情していること、愛国心の喚起、権力乱用、ヘイトスピーチを含むレッテル貼りなどの現状を挙げて、「戦争へ突入していったアメリカと共通する。戦争の足音が聞こえてこないか」と問いかけた。

 最後に平和をつくり出す人となるために、神との和解、祈ること等、個人の日常から世界にまで広げていく小さなアクションを勧めた。

写真=インドネシアの民族衣装バティックを着用して登壇した

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