2018年08月19日号 02面

 沖縄米軍基地移設問題について国に訴え続けてきた沖縄県知事の翁長雄志氏が8日に亡くなった。11月に予定されていた県知事選も前倒しが見込まれる。沖縄の平和や基地問題に取り組むキリスト者らに思いと祈りの課題を聞いた。
平良修氏(日本基督教団沖縄教区議長)は「本土の日本人が翁長知事を殺した」と率直な思いを語った。「沖縄を『国内植民地』扱いする価値観のもとでしか日本の政治がなされなかった。圧倒的多数の日本人に基づく日本政府との闘いの中で翁長知事は死んだのだ。そのような価値観に立たない日本にしないといけない。ただ『祈ります』で終わってしまってはいけない」と述べた。
沖縄キリスト教平和総合研究所所長の内間清晴氏は「非常にショックだった。政治的な闘い、訴訟など心労もあったろう。命を張ってやったのだと思う。知事本人は、米軍基地自体の反対ではなかったのかもしれないが、新たな基地建設、沖縄への加重負担の問題を訴えたことで、党派を超えた『オール沖縄』を築けたのだと思う。訃報には立場の異なる与党、野党議員が『敬意を表する』とコメントした。沖縄住民が平和で安心して暮らせるために身を削った翁長さんの思いを引き継いでしっかりと歩むべきだろう」と述べた。
「沖縄に理解をもち歩む人が本土にもいる」と触れ、「知事が亡くなったからというだけでなく、日頃も祈りに覚え歩んでほしい。良きサマリア人のたとえは、自らの家畜からおりて行動したことが大事だと思う。祈って支えてほしい。励ましの声も心強い」と話した。
「沖縄の基地を引き取る会・首都圏ネットワーク」事務局長の飯島信氏は「米軍基地があるゆえの沖縄の人々の苦悩を背負い、その願いを果たすために、安倍政権が強行する辺野古への新たな軍事基地建設を止めさせる道半ばで世を去ることが、どれほど無念であり心残りであるかを思います。私たちは、『本土』に住む者の責任として、辺野古の埋め立てを止めさせ、米軍基地過重負担を少しでも軽減する取り組みをより一層広げていくことを通して、翁長知事の想いに応えることができればと思います」とコメントした。