日本ホーリネス教団では、従来キャンプ、教会学校、中高生、青年など次世代育成に関わる部門が様々な局に分散していた課題があった。そこで次世代育成にかかわる取り組みを、1つに集約し推進していく、「次世代育成プロジェクト」を2011年から準備を進め、17年から教団委員会直轄の働きとしてスタートさせた。

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 「キーワードは『循環』。青少年期だけではなく、全年代での取り組みになるようにした」と、同プロジェクト責任者の中西雅裕さん(横浜教会牧師)は言う。

 次世代育成の4つの鍵とするのが、子どもから中高生、青年へ向かう時期、結婚・独身青年、子育て、支えるシニアの存在だ。誕生から幼児期、少年少女期、青年期、壮年期、シニアまでの時期を全体として循環させていくイメージだ。

 同プロジェクトには、キャンプなどの取り組みをする青少年委員会や、教会学校研究会、東京聖書学院、MMお茶会(結婚の学びや出会いの場)の取り組みが関わり、教区・教会の活動支援、人材確保、育成、派遣をする。全国の教区やブロックの代表が集まる時期には、次世代に関する公開講座を実施し、意識改革を進めてきた。同プロジェクトの活動財源のために、全国に献金を呼びかけ次世代育成基金を設けた。キャンプ委員会で責任者として立っていた安井巌さん(陣馬高原キリスト教会牧師)は、昨年からより広い範囲の次世代育成にかかわる次世代育成主事となった。各教区を回るほか、他団体のミニストリーと情報交換をしている。

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 次世代育成プログラムを促した要因として、2004年から始まった中高生〜青年対象での450人規模の全国青年集会「ユースジャム」(YJ)の存在が大きい。同教団は全国に6ブロック18教区あるが、青少年向けのキャンプが盛んな教区もあれば、1つの教区では難しいという所もある。そのような現状を受けて全国で集まり、励まし、ビジョンを共有しようと開催が実現した。当初若手の牧師と青年が問題意識を持ち、試みとして始まったYJだが、回を重ねて日本ホーリネス教団全体の取り組みと認識されるようになった。「4年に1度開催されるYJが軸となり、YJで育った青年たちが各地のキャンプにもつながり、積極的にPRしたり、奉仕しています」

 当初は大会のたびに準備委員を組織していたが、12年からは準備委員の約半数が残り、16年に継承していく体制になった。16年の第4回では、「恋愛・性・結婚」のテーマを前面に出し、水谷潔さん(キリスト教性教育研究会会長、JECA・春日井聖書教会協力牧師)が講演。「従来は分科会で実施していたテーマだったが全体で共有したいという声があり実施しました」。中高生、青年別のプログラム、分科会、教区紹介、賛美集会なども催した。最終日には1つの体を意識して聖餐式も執り行った。

 「日本ホーリネス教団は、監督制で牧師主体の特色があるが、近年は、信徒と牧師の協力が重視されている。YJの実行委員会では、青年が自主的に考え、責任をもってやっている」と中西さん。「実際、若い人のアイデア、活力はすごい」と安井さんは言う。

 YJに関わった青年たちが献身者になっている。「東京聖書学院に在学中の神学生たちも何らかのかたちでYJに関わって来た人が多い」と言う。

 16年のYJには、日本ホーリネス教団と宣教協力関係にある基督兄弟団からも牧師を含め10人が参加した。「そもそも、基督兄弟団で取り組まれていた全国青年大会から刺激を受けてYJが始まった面がある。今は相互に大会で交流して刺激を受け合っています」

 地区レベルでの協力関係もある。北海道のある地域では、交通の関係で同教団の教会どうしで集まるのは難しい。しかし近隣に基督兄弟団の教会があり、合同のキャンプや青年会で交流している。

 ホーリネス系の教会による日本福音連盟では、今年1月に同連盟に関連する神学校合同のリトリートが初めて実施された。神学生時代から交流を深め、将来の宣教協力につなげる試みをしている。「この時代、個別の教会、教区、教団ではできないことが多い。協力し合う関係がYJに表れた。超教派ミニストリーとも協力し、委ねられるものは委ね、チームワークを築いていきたい」(つづく)【高橋良知

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