様々な次世代宣教の取り組みがあった2018年。11月22〜24日には第2回日本青年伝道会議(NSDⅡ)が日本福音同盟(JEA)青年委員会主催で開かれる。これに関連して青年と教会の取り組みを紹介する。第2回は、JEA宣教委員会の研究部門が進めている「次世代を育てる宣教インフラの整備」について。【高橋良知

第1回はこちら→ 新連載:NSDⅡへ 青年と教会を考える(1) まず「信仰継承」を目指す

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 JEA宣教委員会宣教研究部門は、2016年の第6回日本伝道会議(JCE6)「日本宣教170▼200プロジェクト」の働きを引き継ぎ、2023年JCE7に向けて、3つの期間に分けて調査・提言をまとめる。2019年までの3年間は、「次世代を育てる宣教インフラの整備」の研究を進める(以後、地域宣教ネットワーク構築による地域宣教の教会、教会の再生・増殖への道筋の明確化を予定)。

 秋までには教団教派、各地域教会、各宣教団体、キリスト教系学校へアンケート調査を実施。JEA青年委員会、同女性委員会、、JCE「子どもプロジェクト」、同「青年プロジェクト」との連携も模索。さらに社会意識、文化、制度などの幅広い一般社会全体の課題については、JCE「日本社会と宣教プロジェクト」と協力して調査する。各種文献も調査し、最終的に「質的なデータブック」として提言をまとめる予定だ。

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 今年の5月21日には、教団教派、宣教団体の青少年担当者などを集めて、担当者会議を実施した。以下、その内容を東京基督教大学国際宣教センター日本宣教リサーチ発行の「日本宣教ニュース」第12号(サイトShttp://www.tci.ac.jp/institution/fcc/jmrからダウンロード可)から要約する。

 全体の総括として、次世代の課題と取り組みについて、教会、教団教派レベルでまとめた。教会レベルでは児童・青年、信仰継承(子育て)・夫婦関係、独身者・非婚化、高齢化の課題がある。イベントやキャンプなどで子どもたちが集まる教会がある一方、少子高齢化で、スタッフの担い手がいないという教会もある、イベントで子どもたちが集まっても中学以降つながらない、青年のリーダーが育たない。これらの課題は一教会では限界があり、教団教派レベル、超教派、宣教団体との協力が必要となる。

 クリスチャンホームでは信仰が継承されない問題があり、その要因としては律法主義的な教育、夫婦関係の問題なども考えられる。教会は個人の問題から家族の問題への対応が求められる。

 1995年をピークに婚姻率は低下、晩婚化も進む。クリスチャンの自然増の減少が生じる。根本的に出会いがなく、この課題も一教会ではむずかしい。2025年には高齢者の人口が3倍になり、都市部で特に増加する。新世代と高齢者が共存できる教会を模索する必要がある。

 教団教派レベルでは、次世代リーダーは「将来、事業や組織を牽引できる人材」でもある。リーダーの特性は歴史や組織の特徴によって変わるが、霊的リーダーシップから、経営、事務まで教育プログラムが整備されているか。これらには長期的、段階的な整備が必要となる。整備がない状態で、次世代に複雑高度なリーダーシップを求められ、組織の変革が困難になることも考えられる。

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 ディスカッションでは以下のようなことが話された。児童、青年、高齢化、結婚の話題では、教会学校から子どもが減少している、習い事、塾、部活で子どもが忙しい、地域の子どもとの接点をもてない、芸能人の話題など世代間のギャップがある、青年のリーダーシップや伝道の姿勢の弱さ、高齢者は自らを助けてほしい、結婚しない独身者が増えている、などの課題が挙げられた。

 アプローチ・体制としては、若者文化やコミュニケーションツールが変わった、若者は押しつけを嫌う、本音を話せる関係が求められる、教会員が忙しくて次世代に関われない、教会の慣習、しきたりが壁になる、牧師と直接話せない様な内容を相談できる存在の必要、などが挙げられた。

 社会意識・文化としては、若者に届く言葉で説教すること、礼拝を根本的に考えること。

 また宣教団体との協力については、宣教団体の取り組みが教会に取り入れづらいものもあるという意見も出た。

 具体的な取り組みとして、教会レベルでは、教理、神学の学びを重視する教会、地域の教会で合同の青年会を開く、教会堂だけでなく公共施設やショッピングモールでイベントをして親世代も喜ばれた、宿題会を開き、家庭環境に課題あるこの居場所つくりをしている、などのアイデアが出た。

 ディスカッションを総括して、若者の主体性、宣教団体やキリスト教学校との連携の課題なども挙げた。

(次回から教団教派の具体的な取り組みを紹介します)

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4/14の窓運動と日本の教会(終) 蒔かれた種に収穫の希望ある 杉本玲子さん(新生連合・町田クリスチャンセンター教育牧師)2018年8月23日

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