11月25日号紙面:生活の場を共有し声を聞く 松尾献さん(キリスト者学生会九州地区主事) NSDⅡへ 青年と“神の国”を考える(5)
前回は → すべての職業が用いられる 飯田岳さん(東京フリー・メソジスト・南大沢チャペル牧師)
第2回日本青年伝道会議(NSDⅡ)青年大会3人目の講師を務める松尾献さんは、学生伝道に従事するキリスト者学生会(KGK)の主事。九州地区を担当し、九州7県と山口県下関市を巡回する。協力者やボランティアはいるものの、フルタイム担当者は地区で1人。各県を2か月に1度は回っている。
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青年たちにかかわる上で大事なことは、「彼らの生活圏に入っていくこと」と言う。「週1回の礼拝には、普段と違う教会向けの顔で行くこともある。学生たちは、空気を読むのが上手で『先生も忙しいから話し過ぎないようにしよう』と遠慮してしまうこともある。キャンパス訪問や巡回で泊まる学生の部屋など、彼らの生活の場で、ふと彼らの本音がもれる時がある。またKGKでは、合宿や夏期学校があり、時間を気にせず、様々なことを話せる場が用いられることもあります」
「時代が変わっても、学生の悩みの多くは変わらない」という実感がある。「恋愛や自分のアイデンティティー、就職、進路について。親に連れられて教会に来てたけれど、本当にキリスト教は正しいのだろうかという悩みも。ただ最近は、『あまり考えずに受験をしてきて、本当にこの大学で良かったのだろうか』という声もあります」
地方ならではの課題として、大学に入って地元を離れるということがある。また全体として、中高生も減っていて、長年続いていた教会の中高生キャンプが休止するということも起きてきた。このような地域の教会の状況、ニーズを受けて、16年にKGKとしては初の中高生キャンプ「たまごキャンプ」を開いた。「学生たちも主体的に奉仕し、第2回の開催も決まった。準備委員には前回高校生として参加していた大学生もいる。前回のキャンプ後も学生たちが中高生と個々につながっていた。ちょっと上の先輩が本気で信仰を表している姿が励ましになっていると思います」
キャンプなどの活動が学生の成長につながっている。「以前は、夏期学校の準備委員などがすぐに決まらなかったが、最近は、積極的に立候補するようになった。準備委員会はなるべく楽しい時間になるようにしている。準備委員同士はうまくすれば、生涯の信仰の友にもなります」
NSDⅡのテーマ「神の国マインドに生きる」について期待している。
「いわゆる伝道だけがキリスト者の働きと思っている青年もいるかもしれない。今まで、部活はだめ、となりすぎてなかったか。部活の中でも神の国を表すことができる。もちろん、礼拝にいかないことの逃げ道となってはいけないが、伝道活動だけになり、勉強や仕事がおろそかになってはいけない。働くこと、勉強、や全生活で、神の国を作り上げることを励ましていきたい」と言う。「どのような職業の人でも、神様からたくさんの使命を与えられ、励まされている。神様から使命を受けて、それぞれの場に帰るとき。日本のキリスト教の景色が変わるのではないかなとも思います」
「キリスト教学校の先生でなければ神様の働きができないということではない」と話す松尾さんは、公立の小学校で6年間教員をした経験もある。「もともと人とかかわるのが好きだった」と言う。
「公立の学校で福音は語れないが、直接献身の人だけではなく、一般の働きでも神様の素晴らしさを表す道備えができると経験した。児童たちが教会のクリスマス会に遊びに来るようなこともあった。今、学生たちにも就職のことで自信をもって語れる。福音を語れない場でも、人々がイエス様に出会ってもらえる生き方に、私たちは招かれていると」
宣教団体スタッフとして、教会との信頼関係を大切にしている。「学生の所属教会を訪問するのは家庭訪問に行くような思い。学生がKGK活動に入り、変わったこと。学生から教えられたことを報告する。KGKのような宣教団体の働きは教会のわざとしての働き。常に教会の声が大事。教会と顔の見える関係でいたい。ちょっとしたことでも協力していきたい。中高生のキャンプなどに呼ばれると必ず行く。学生たちにも自分の通う教会を愛しなさいと伝えている。教会には心から感謝をしています。」 (終) 【高橋良知】
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