人工知能についての声明 (米国南部バプテスト連盟・倫理宗教自由委員会2019年4月11日)の要約

原文 https://erlc.com/resource-library/statements/artificial-intelligence-an-evangelical-statement-of-principles

 技術の進展を恐れてはならない。神が歴史を支配している。神の似姿としての人間にとって代わるものは他にない。AIの問題に教会が積極的に関わることを願い、AI技術の肯定面、否定面を挙げる。

①神の姿

 人間は神の似姿に創造され、尊厳をもつ。倫理の代理人であり、他の被造物とは異なる。人間に託された統治権、管理権を他の被造物が奪ってはならない。

②技術としてのAI

 AIの進展は人間の創造力の現れ。神の栄光をたたえるため、人間の繁栄、隣人愛のため、人間の尊厳を支えるために利用されるべき。AIは人間の究極的な必要を満たすものではない。

③AIと人間の関係

 AIはデータを処理し、意志決定するための優れた道具だが、倫理責任をもたない。人間だけが意志決定の倫理責任をもつ。

④医療

 隣人愛の聖書原理に一致する医療倫理によって導かれるべき。死と病気は人間の堕落の結果であり、キリストを離れて根絶されない。

⑤偏り

 道具としてのAIは偏りがあるので、偏りを最小にし、人間の判断で除去すべき。AIが人間の意志決定の偏りを正す道具としても用いられる。抑圧的な権力のイデオロギーを強化する道具となってはならない。

⑥性

 性的な快楽を追求するためにAIを利用してはならない。結婚、夫婦の性にAIが浸入したり、代替化されてはならない。

⑦仕事

 AIは人間の仕事を助け、賜物を豊かにすることができる。レジャーだけの生活を追求するためにAIや他の技術を使ってはならない。

⑧データと秘匿性

 プライバシーや個人の権利が侵されてはならない。神の愛と隣人愛に一致しない方法でデータを使用してはならない。真実を歪めてデータを使用してはならない。

⑨セキュリティー

 人権を尊重し、保護するための治安維持、分析、監視、調査にAIは応用される。非人道的、非人間的、攻撃的な方法で使われてはならない。表現の自由、基本的人権を侵してはならない。

⑩戦争

 隣人愛、正戦論によって支配されるべき。死者を減らし、非戦闘員を守るために使われるべき。人命にかかわるものは、人間の監視と検査によるべき。基礎資料、意志決定過程は、司法によって検査されるべき。道徳責任をAIに委任してはならない。

⑪公共政策

 市民は、社会におけるAIの利用についての政策を形成する役割を担う。技術者や政府だけがその役割を担うのではない。人権を損なう政府、企業、団体によってAIが利用されてはならない。

⑫AIの未来

 AIは我々の理解を超える分野で発展し、人間の能力をはるかに超えるだろう。AIは命の創造者としての神に代わるものではない。教会は、人間の尊厳を伝え、社会のあらゆる面で、人道的なAIの利用を求める役割がある。AI技術によって、人間を人間以上にも人間以下にもすべきではない。AIが人間に等しい価値、尊厳、神の似姿になることを認めない。AIの発展で「完全な世界」は訪れない。我々は未来を恐れない。神は全知であり、人間が造ったものは、神の贖いの計画を妨げることはできない。神の似姿としての人間にとって代わることもない。