本書の著者であるメインジョン先生は、1985年から日本への宣教師として奉仕されて来られました。メイン師はCPI(チャーチ・プランティング・インスティチュート)の働きを長年牽引して来られ、日本に教会増殖運動が日本人たちの手によって進められることを、長年祈って来られた一人です。そして今年、宣教師としての働きにピリオドを打ち、アメリカへ帰国されます。

 本書は、日本の教会について、現状についてデーターを交えて鋭く分析し、日本の土壌に神さまが成してくださっている御業について温かいまなざしで紹介し、そして未来に向けて新しい教会の可能性について大胆に提案してくれる一冊です。

 序章において、日本は世界で二番目の巨大な未伝部族(クリスチャン人口が人口の2%以下)であるということについて触れ、「なぜ日本には多くの教会がまだ存在していないのでしょうか」と問題提起をしておられます。

 1章では、「日本の土壌に福音を浸透させる」というテーマで、福音がまだ浸透していない現状の外部的な原因についての考察をし、それを受けて2章では、「日本の土壌における教会」として、どのような新しい教会を形成していけばいいのかという六つの方向性を提案されています。

 3章では、「日本の宗教のムーブメント」として、キリスト教会だけではなく、日本の他宗教のムーブメントを考察し、そこから学べることを述べています。

 4章で、教会開拓における戦略的な視点では、教会が増殖することを通して、日本の社会を変革できるという視点を述べています。

 5章では、日本で再生産する教会の効果的モデルとして、日本において教会開拓に取り組んで来たいくつかの教会を挙げ、6章の教会を再生産するリーダーたちでは、興味深いアンケートの結果として、教会増殖を導くリーダーに共通する六つの特徴について述べています。

 最後の章で、新しい教会の増殖への将来の課題として、間もなく日本を去ろうとしている宣教師の遺言とも言える重要な問題提起と質問を残してまとめております。

 私が本書を読んでみて、日本における教会開拓、教会増殖について、ここまで深く考察された書は見たことがないと思わされました。この本がこの時に日本語で出版されたことを、心からうれしく思います。教会合併、教会消滅が身近に聞こえる今、福音が持っているいのちの増殖の力を、自分のうちに取り戻すためにも、ぜひご一読をお勧めしたいと思います。

評・播義也=アジアンアクセスジャパン・ナショナルディレクター

『教会増殖 日本という土壌に福音を満たす』

ジョン・メイン著、松平善宏・津倉茂訳 

いのちのことば社、1,870円税込、四六判

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