7月12日号紙面:ジョン・パイパー氏 コロナ禍緊急出版 『コロナウイルスとキリスト 未曽有の危機に聖書を読む』
ジョン・パイパー氏 コロナ禍緊急出版 『コロナウイルスとキリスト 未曽有の危機に聖書を読む』
写真=『コロナウイルスとキリスト 未曽有の危機に聖書を読む』ジョン・パイパー著、渡部謙一訳、880円税込、B6判
「神はなぜ」に聖書から答える
「神はなぜコロナ禍を許されたのか」。そのような問いに聖書から真正面に答える書籍が緊急出版された。『コロナウイルスとキリスト 未曽有の危機に聖書を読む』(いのちのことば社)だ。著者は神学者、説教者で、多数の著作をもつジョン・パイパー氏だ。
出版のきっかけは4月半ば、翻訳者からの提案に始まる。いのちのことば社ではすでに科学者で弁証論者のジョン・レノックス氏による『コロナウイルス禍の世界で、神はどこにいるのか』の緊急出版が決まっていたが、「パイパー氏の著書は、また別の視点で、特に信徒の信仰の養いになる」と判断し刊行を決定。2、3週間で翻訳を終え、6月頭には店頭に並んだ。
パイパー氏について同社編集部の田崎学氏は、「昔ながらのオーソドックスな福音のメッセージを継承し、安心して読んでいただける。聖書的、神学的な学びになり、どう生きるか、どう神との関係を築くかという信仰生活に適用できる著作が多い」と述べた。
本書は120頁ほどの本だが、引用聖句索引が数頁に及ぶ。「外の苦難の状況に翻弄されても、聖書に聞いて、聖書に基づこうと、あくまで聖書の神に信頼しようという姿勢。そのために聖書の引用が多くなっています」
危機の現状の中で、罪や裁きへの警告を読み取ることも特徴。「罪や裁きが語りにくい、そのようなメッセージがトーンダウンしているといった状況が、キリスト教会でもあるのではないか。そのような中でパイパー氏は意識的に、はっきりと罪、裁き、再臨について語り、聖書の理解が深まります」
パイパー氏自身のがんの闘病についても語られる。「コロナに限らず、様々な苦しみについて、意味、目的を考えることができます」。さらに「キリストの愛をどのように実践していくか」という宣教の視点もある。
内容は二部構成で、最後に「結びの祈り」がある。一部は「コロナウイルスを支配する神」。人生を支える「岩」について、その土台の性質、神の正しさ、統治、神の支配の甘美さを語る。
二部では「神はコロナウイルスを通して何をしようとしておられるのか」という問いについて六つの答えを提示する。
パイパー氏は「神は、ご自分がこの世界で何をしようとしているかについて沈黙してはおられない。神は私たちに聖書を与えておられる」、「私が目当てとしているのは、今神が行っているかもしれないみわざについて、あれこれと夢想することではない。私の目当ては、聖書に記された神のことばに耳を傾け、私の聞き取ったものをあなたに伝え、ゆだねることなのだ」と言う。
また「今の時代を見分ける」こと、「神の助けを乞い求めながら、神のことばに目を向け、何が正しいのか自分で判断してほしい」と勧める。パイパー氏の言葉を味わいながら、自ら聖書を開き、じっくりと現在の状況を吟味していきたい。