塩田住職(左)と岩村氏

日本大震災などの地震や台風被害に遭った被災地を訪問し支援してきた神戸国際支縁機構(岩村義雄理事長)は、九州南部豪雨で被害の大きかった人吉市と芦北町を訪問した。以下は岩村氏のレポート。

第1次球磨川ボランティアを7月4日、5日の2日間行いました。一級河川球磨川の氾濫について,泥で覆われた人吉市ではダムが問題ではないと言われる方が多いです。しかし,球磨川上流の市房ダムから多量の泥水が放流されていました。
ダムは数年で泥などが堆積します。決壊を防ぐために,人吉方面へ流しているとしか思えない勢いでした。なぜ市民は7月4日午前9時半にダム放流を中止するという国交省側の言い分を信じているのか不可解です。1966年に球磨川の支流である川辺川に国交省が九州最大のダムを建設しようとしたことがありました。同年,五木村の住民たちが反対したことで、建設されませんでしたが40年以上、人吉をはじめ球磨川流域にはダム建設賛成か反対かの対決が尾を引きました。
地球温暖化,異常気象,二酸化炭素などの放出に思いがふさがれてはいけません。技術偏重による効率,能率,便利さは現代の鬼門です。
人口3万3千460人が住む人吉市は210.6 km²の面積があります。ほぼ全域にわたり泥で覆われていました。昨年の台風19号通過直後の福島県いわき市,宮城県丸森町と同じく、ボランティアではなく家族・親戚・友達総出で泥をかき出していました。高齢化の日本で、不慣れな作業をなさっている高齢者を見るのは偲びないでした。しかし、被害が広域の場合、被災地にボランティアセンターができるまで、がれき撤去などに取り組むのはやはり隣人・家族になります。これからの時代のボランティアは、一番目に「受縁力」、二番目に間ボランティアセンター、三番目に災害救助法の説明・手続きを本来の「公共」である市民が担うようにしたらどうでしょうか。
三つのことを専門家任せにするのでなく、自立した市民それぞれが隣人愛に基づいて扶助し合うコミュニティをつくる転換点です。

炊き出しの準備中

第2次球磨川ボランティアは7月10~12日まで行いました。現地からの炊き出し依頼で訪問させていただいたもので、金光教会人吉教会主催の炊き出しに仕えました。プロパン、大鍋を車に積み込み、4人でライフラインが寸断していた地域の人たちに200食分のカレーシチューを提供させていただきました。安武光太郎(35)人吉教会長や,梅木博光(69)多良木教会長たちも、ご近所や地元のボランティアに食べにくるよう呼びかけておられました。
森林の土砂崩れに本堂もすべて壊れた日蓮宗実照寺の塩田義道住職(63)は,「県に何度も裏山の危険を訴えていたんだ…」と、声も沈んでおられました。球磨川の支流である佐敷川の水位が先週4日には道路と同じ高さになり、両岸を超えて人家といのちを奪いました。ダムに多額の投資をし、河川工事を怠ってきた国交省の責任は大きいです。
炊き出しと同時に,葦北郡芦北町役場や,人吉市役所には神戸から持参した1,500部ずつのマスクも喜んでくださいました。被災した家屋には救援金が必要です。【振込窓口】◇郵便振替 口座 00900-8-58077 加入者名一般・社団法人神戸国際支縁機構(記入欄に「熊本」と明記) ◇三菱東京UFJ銀行462(三宮支店) 普通 3169863 神戸国際支縁機構

炊き出しの様子