台湾の民主化に尽力した、李登輝元総統が7月30日97歳で逝去した。

クリスチャン新聞では、2004年3月7日号で、率直に信仰を語る李氏の様子を、榎本恵氏のレポートによって伝えている。

記事は同年2月に開催された台湾アシュラムに際して、参加者の有志が李登輝氏に表敬訪問したときの様子。有志代表は榎本氏、作家三浦綾子氏の夫の光世氏ら20人。

李氏は死の問題について悩み入信。処女懐妊や復活など決して理性や経験、知識で理解するのではなく、ただ信じることの大切さを語った。

台湾総統として難しい政治運営に立たされることもあるが、いつも祈り、聖書に聴いていた。「リーダーの条件は信仰を持つこと」「国とはどうあるべきか、人間とはどうあるべきか、それは信頼である」「政治的解放から精神的解放へ、物質的目標から精神的目標へ」などを話したという。

台湾への最初の宣教師、ジョージ・マッカイを紹介し、「信仰が土着化するためには自分自身が民衆の中へ身を投じること」と述べた。

李氏は22歳まで日本人として日本で教育を受け、日本軍に入隊し、名古屋で敗戦を迎えたという。2007年に来日した際、日本人としてマニラで戦死した兄がまつられる靖国神社を参拝した。これについて渡辺敬直氏は、本紙オピニオン欄に寄稿(2007年7月1日号)。渡辺氏は、1985年に台湾で開催された「アジア太平洋国際クリスチャンキャンプカンファレンス」について振り返った。そのときの印象を「当たり障りの無い外交辞令ではなく、台湾の独立を主張する政治的発言でもなかった。イエス・キリストの十字架と復活を含めた伝道メッセージのような内容でキリスト教徒であることが明確にわかる挨拶であった」と話す。指導者の条件として「信仰をもっていなければならない」と述べた。一方渡辺氏は、李氏の靖国神社参拝については、政治的混乱やキリスト者の分断につながると、疑念を示した。

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