聖書通読が大切だと考えているクリスチャンは多いし、実践している人も少なくない。しかし小説とは違って聖書は難しくて簡単には読めないため、挫折することも珍しくない。何度も挑戦しては挫折し、諦める人もいる。そこで手引きが必要となる。
本書は「聖書通読のためのやさしい手引き書」との副題が付いているとおり、1ページに1章ずつ、新旧約聖書全章を全5巻で取り扱っている。多くの聖書日課やディボーショナルな本は著者の選んだ1節についてのメッセージとなっていて、一つの章全体を理解するには向かない。

本書の各ページは、最初の段落で章全体について紹介し、1章をいくつかに区分して一段落ごとに解説していくので、その章の概要が理解できる。最後の段落は章全体からのショートメッセージとなっており、短い祈りで閉じている。まるで小さな講解説教かバイブルリーディングである。それが1ページ「3分」で読める。

今回の出版は『聖書 新改訳2017』に合わせての改訂版であり、初版の前文に書かれている通り、著者が牧会しておられた教会で信徒向けに行われた「電話メッセージ」が元である。私が牧師室を訪問したときも教会の留守電テープに3分間メッセージを吹き込んでおられた。教会員が電話をすれば留守電で聞くことができ、通読の助けとなっていた。それを三年間毎日続けた集大成が本書であり、信徒が読んで分かりやすく、また牧会者の愛のあふれた内容となっているのも当然である。

聖書を1章読んで黙想し、その後、本書を読んで理解が助けられ、著者(牧会者)の祈りに続けて自分の祈りで締めくくるなら、自然とディボーションが身につく。それと同時に聖書の理解も進み、2周目(あるいは3周目)の通読時には自分で読んでも以前よりも読みやすくなったことに気がつく。その点で自立した通読者となるための手引きでもある。(忙しい牧師にとっても説教準備のアンチョコとなることは秘密である)(評・千代崎備道=池の上キリスト教会牧師)

『3分間のグッドニュース ―聖書通読のためのやさしい手引き書』全5巻[律法][歴史][預言][詩歌][福音]鎌野善三著、
ヨベル、1,760円税込、A5判

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