「神のなさることはすべて時にかなって美しい」。新型コロナウイルスによって社会生活が、そして教会の宣教活動が以前のようにできなくなり、キリスト者一人一人のある事柄が炙(あぶ)り出されることになりました。それは、これまで教会につながっていたのは、主なる神と交わり、礼拝するためだったのか。知的知識を満たすためだったのか。それとも奉仕活動や人との関係性によるものだったのか…。
この本では、アダムの二面性(創世記1章・2章の各創造物語)である、「努力して達成を求めるアダムⅠ」と「神と人との魂のつながりを求めるアダムⅡ」とを私たちも内面に秘めており、両方の人格を健全に統合する大切さが語られます。そしてそのバランス感覚を保つ力を主によって注がれることが真の「霊性」だと。

「三位一体」という文字自体は聖書にありませんが、福音の真理であるように、「霊性」という言葉も同様です。これまで「霊性」はカトリック専門用語のように敬遠されがちでしたが、ヘンリー・ナウエンの生き方と著作から静かに湧きあふれる温かな生ける水に触れ、キリスト者すべてに必要とされるものだと感じ始めました。そしてケン・シゲマツ氏の前著を含む、具体的な「霊的習慣」の恵みを解き明かすメッセージに触れて、「これは温泉のように浸る(信じる)ことで、魂も、全人的健康をも保つ秘訣だ」との安心感が増すことでしょう。

このウイルス禍により、温度差はあってもすべての人々が、社会的、信仰的氷河期のような寒さの中に突然放り出されました。今、多くの人が身も心も魂も、そして関係性をも快復させる「隠れ家的温泉宿(教会)」を探し求めています。今この時期にこの本と出会い、「大切な福音宣教が願うようにできない」と嘆き痛む以上に、「今は、主なる神との関係性を深める少し長い『安息日』が与えられたのでは…」とさえ思える、温かく平安な心にされました。驚くべき神の愛と時とに信頼を深めさせていただける一冊です。
(評・友納靖史=日本バプテスト連盟常盤台バプテスト教会牧師)

『魂のサバイバルガイド』
ケン・シゲマツ著
いのちのことば社、1,870円税込、四六判

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