「お早うございます」「ありがとう」「お久しぶりです」

12月後半の底冷えする土曜日の朝、横浜市寿町の公園で、炊き出しを待って整列する人たちの表情は穏やかだった。日本有数の「ドヤ街」として知られた寿町には、生活困窮者が集っている。単立・横浜カナン・キリスト教会(佐藤敏・徐蓮煕〔ソ・ヨンヒ〕牧師)が実施する給食活動では、従来は礼拝や賛美、証しなどの集会を交えていたが、新型コロナ感染予防のため、炊き出しに特化して活動している。

佐藤牧師は炊き出しを待つ人のために、聖書のショートメッセージと、アコーディオンでの賛美歌演奏をしていた。歌は交えないが、クリスマス・キャロルが響いた。

 

顔見知りの人も多いようで笑顔で挨拶を交わす姿も。信徒伝道者の田村隆さんは、「困っていても、どこかに相談に行くのはなかなかハードルが高い。ここだと気軽な会話で困っていることを話すこともできる。そこから具体的な支援につながることもある」と話す。行政から困窮者の具体的なサポートを求められることもある。「ベトナムからの留学生で、本国に帰れない子が教会で寝泊まりしている。渡航はビジネス関係者が優先されて他の人は難しい。外国人支援のNPOとも連携して支援しています」

佐藤牧師は「案外、生活保護などについて知らない人もいる。倒れて病院に運ばれてようやく支援にたどりつくこともある。その前にかかわって介添えできる存在が必要です」

現在教会堂での集会は20人に制限。「しかし、外での集まりで人々とかかわっています」。木曜、土曜の炊き出しに加え、夜には軽食を携えたパトロール活動もしている。この夏以降に出会った人の中には、信仰を持ち、クリスマスに洗礼を受ける人もいる。

「今日明日食べ物に困る人、生きるか死ぬかという人々とかかわる中で気づかされることは多い。コロナ禍で、今まで困窮者ではなかった人も大変になっている。失業する人、自殺する人が出ている。このような時こそ、何としてでも神様には救い、助けがあることを伝えたい」と意気込む。

公園でのメッセージでは座間男女殺害事件、京アニ放火事件、相模原障がい者施設殺傷事件などに言及していた。「犯人の残忍性に注目しがちだが、福音を伝える私たちにも責任がある。もし彼らが福音に触れ、神を知ったならば、あのような事件を起こさなかったのではないか。私たちが置かれた地域の人々とかかわることが大切になります」

「私たちのようにホームレスに特化した働きではなくても、各地域で困った人々はいるので、様々な働きができると思う。献金もその一つだが、ほかにも衣類や食料の調達、生活保護など支援への接続など、私たちにはノウハウがある。『何かしたいが、どうしたらいいか分からない』という教会があれば、私たちは相談に応じることができる。コロナ禍で仕事がひまになった、時間が余ったという人もいると思う。その時間やエネルギーを、さらに困っている人々のために使うのはどうでしょうか。教会にはあなたを生かす働きがたくさんある。神様を愛する礼拝、人々を愛する伝道。教会は両方が大事」と勧めた。

横浜カナンキリスト教会TEL045・664・4710 https://misson-lazarus5286.jimdofree.com/

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