※2016年記事を再掲します。

支援・復旧の展開と長期化

写真提供=日本国際飢餓対策機構

阿蘇でのBBQ炊き出しの様子。写真提供=日本国際飢餓対策機構

阿蘇・大分も
大分市のアライアンス・大分キリスト教会牧師の永井一匡さんは、九州キリスト災害支援センター(以下KCDRC)に協力して、阿蘇、大分の教会被災状況を調べ、フェイスブックで情報発信した。大分では、由布院の単立・栄光のキリスト由布院神の家で、建物の亀裂などがあったという。
阿蘇市のゴスペルホーム・グローリー教会は、一般のボランティアがあまり訪れていない。裏山の外輪山が半分崩れて停電、電話不通、断水で孤立感があった。29日情報では電気、電話は通じたが、水はまだ一部断水中。
同市の栄光の福音教会は教会の被害はなかったが地域の子どもたちがストレスを抱えているという。
KCDRCが協力して5月3、5日に、それぞれの教会でBBQ炊き出しをした。阿蘇地域で支援した日本国際飢餓対策機構(JIFH)のホームページ、吉田知基スタッフによると、3日のゴスペルホーム・グローリー教会でのBBQ炊き出しには、近隣から25人が参加。震災後、初めて肉を食べたと言う人もおり、食事をしながらそれぞれの被災体験を語り合った。子どもたちが賛美歌を歌ったり、地元の人が阿蘇の歌を披露するなどの場面もあったという。

地域での真価試される 熊本拠点YMCA

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写真=益城町総合体育館。外では炊き出し。中は避難者と支援者で騒然

 

熊本YMCAは、指定管理施設の益城町総合体育館、御船町スポーツセンター、阿蘇のキャンプ場などを避難所、ボランティアセンターとして開放し、全国のYMCA、各種団体と協力して管理、支援活動をしている。
4月29日に記者が益城町総合体育館を訪問した際は、体育館の中は、情報掲示板、配布物コーナー、廊下にまで段ボールを敷いて避難する人、各支援のブース、支援作業に動く人たちなどで騒然としていた。フェイスブックの「熊本YMCA緊急災害支援」ページで日夜活動が報告されている。5月3日の時点で益城町総合体育館の避難者は千500人。カフェスペース、健康相談所、プレイルーム、授乳室、ペットのためのテントなど場所を用意。睡眠を削りながらもスタッフやボランティアも笑顔で対応。子どもたちも積極的に大人たちを手伝っている。物資を運ぶときも、自主的に参加して手伝いをしている姿を伝えている。

熊本YMCA学院には、介護福祉、保育を学ぶ学生がいる。OBも含め避難した高齢者の介助などで活躍した。同学院日本語学校の外国人を中心に、災害情報を得にくい外国人にも配慮している。熊本YMCA総主事の岡成也さんは、「キリスト教を基盤にして、地域と関わり続けてきたYMCAの意義が試される機会となっている」と話した。

同事務局長の神保勝己さんは、「行政などの支援が展開し、復旧が進んでいるが、心の問題が残る。落ち着いたときに、家がない、仕事がない、農業ができない、先が見えなくなる。トラウマのケアもいる。寄り添うかたちで、長期的な支援をしていきたい。そのためには、モノ、ヒト、資金が必要」と支援を願う。地域支援とともに、一足早く働く親のために保育園は再開した。他熊本YMCAの施設(一部を除き)でも5月10日には再開し、地域に貢献していきたいという。
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4月28日、横浜YMCA(田口努総主事)は「熊本地震緊急支援報告会」を開いた。18日から24日まで被災者支援に派遣されたスタッフの、依田智義さん、大塚英彦さんと、25日に視察に入った秦好子さん(被災地の子どもを支援する神奈川市民の会事務局長)が、現地報告。行政の支援を個々の被災者まで届けるためには、ボランティアの働きが欠かせない、と語った。

依田さんと大塚さんは、主に御船町スポーツセンターと益城町総合体育館で活動。両施設は熊本YMCAが指定管理者として委託されているが、今回避難所としても運営委託を受けた。御船町スポーツセンターでは、250人が避難。体育館の天井が落ちたため、寝泊りは、廊下、階段など。3日目からは食事配給を被災者が手伝うなど、早くから住民が避難所の運営に関わっている。益城町総合体育館は、千200人の避難者を受け入れ、駐車場では500人以上が車中泊。物資は、個別に必要なものを除き、満たされている。外部からのボランティアの申し入れも多かったが、益城町の人を中心に自分の地域のために活動してもらっている。「スターボックス益城町店」というカフェを開設。温かいコーヒーが「ほっとする」と喜ばれた。要介護の人のためには、介護の専門職とコーディネーターがともに働くことで、支援が円滑に行われている。

横浜市消防局消防訓練センター次長の経歴も持つ秦さんは、今までの災害で明らかになった課題が今回も解決されていない、と語る。「想定外という言葉は、非常時には許されない。避難所の運営は、避難者自身が参加する自立した運営を基本とし、それを支える体制が必要。施設の指定管理者が、非常時の運営をどれだけ担えるかは疑問。行政は非常時の施設運営管理体制を考えないといけない」と語った。

 

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親子を継続的に励ます 「くまもとスマイル」

写真=5月5日に開かれた「くまもとスマイルプロジェクト」の様子。鬼ごっこ、かけっこ、マイバッグ作り、ビンゴ大会などを実施。60人以上の子どもらが集った。

熊本地震で被災した子どもたちと、その家族を励ます継続的なプログラム「くまもとスマイル」を、KCDRCが主体となり、様々な団体との協力で実施する。
震災によって、遊び場を失ったり、心の不安を抱える子どもたちのために、遊びのイベント、バスツアー、コンサートなどを実施する予定だ。

スタッフとなる保育士、教師、教会学校教師、YMCA学院の学生らには、子どものケアーのためのワークショップを5月4日に実施して準備した。児童支援などの実績がある、ワールド・ビジョン・ジャパン、日本国際飢餓対策機構、クラッシュジャパン、オペレーションブレッシング、東北こども支援プロジェクトSola、熊本YMCAなどが後援、協力する。5日には、「くまもとスマイル ひろばであそぼう」を実施。7日には、熊本東聖書キリスト教会・木山キリスト教会主催で、福岡ソフトバンクホークスのデニス・サファテ選手の招待による「第一回くまもとスマイルバス観戦ツアー」を実施した。継続的な資金援助も必要としている。

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熊本地震から5年を迎えるこの週、クリスチャン新聞オンラインでは、地震発生当時の初期約1か月の報道を振り返ります
記事のリストはこちら → シリーズ「熊本地震から5年」を掲載 https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/?p=31229
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