反コロナワクチンの風潮 米福音派にも広がる

 

【CJC】米メディア「CNN」の4月17日報道によると、ルイジアナ州バトンルージュにあるライフ・タバーナクル教会のトニー・スペル牧師は4月11日に行った説教で、「新型コロナワクチンを信じてはならない」として、「今日はっきり言っておく。もしマスクに反対し、ワクチンに反対するのが政府への反対を意味するというなら、私は喜んで反政府になる」と語った。同氏は、「99・6%の確率で生存できるなら、なぜ他人が自分の血を汚すのを望むのか? 体に害があるかもしれないのに」とも問いかけた。

国をはじめ各国の保健衛生の専門家は、新型コロナワクチンが引き続き安全で、感染予防に効果があるとの一致した見解を示している。米国での新型コロナ関連の死者は56万人以上、感染者は3千100万人を超える。全米福音同盟が今年1月に実施した調査によると、回答した福音派指導者の95%はワクチン接種を受け入れると述べた。しかし、スペル氏は断固としてこれに反対で、同氏を含む福音派の相当数は、ワクチン接種に反対の立場を取っている。

福音派がワクチンに反感を抱く理由は一つではない。そこでは政府への不信、ワクチンの効果に関する無知や誤情報、本人の政治的立ち位置などが入り混じっていると指摘する専門家もいる。オクラホマ大学の社会学教授で宗教を専攻するサミュエル・ペリー氏はCNNの取材に答え、「彼ら(福音派)は初めから行動や言葉でワクチンに対するもっとも強い抵抗を示してきた」と説明。この半年間の調査でそうした姿勢が繰り返し表れていると述べた。

情報の偏りもまた、福音派にワクチン接種をためらわせる役割を果たしているとペリー氏は分析する。彼らは保守系メディアの司会者がワクチンを疑問視したり、あからさまに非難したりするのに耳を傾ける。

ライフ・タバーナクル教会の会衆には有色人種も含まれる。米疾病対策センター(CDC)のデータによれば、黒人やヒスパニック系は白人に比べ新型コロナ感染で入院する可能性が約3倍、死亡する可能性が約2倍、それぞれ高いという。

今回CNNがインタビューした中でワクチンを接種していたのは男性1人のみ。2回接種のワクチンの1回目を接種した段階だった。

保守系のシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ・インスティテュートの研究によると、共和党支持者の中でも福音派は他の宗派と比較して特定の陰謀論を信じ込む傾向が強いという。

白人の福音派にはワクチン接種に反対する人が依然として多いと、ペリー氏は懸念を示す。地域によっては、人口に対するその割合が全国的な水準よりはるかに高いケースもあるとしている。