【関西だより】 「禁煙、コロナ、クリスチャン」語る 高橋裕子さん医学セミナー 「癒やしてくださるのは神様」

京都大学大学院教授で内科医の高橋裕子さんを講師に迎え、関西カルバリーフェローシップ(東大阪市)主催の特別医学セミナー「体のつくりに見る神様のめぐみ」が、4月29日にオンラインで開催された。高橋さんは1994年に奈良県大和高田市の病院で日本初の禁煙外来を開設。日本禁煙科学会理事長を務める。

高橋さんはまず詩篇23篇が与えられたと前置きした。
「新型コロナウィルスの感染拡大で色々なことが起こったこの1年、このみことばに励まされました。どんなにつらいことがあっても、神様は共にいてくださり、喜びを与えてくださる。詩篇23篇はそれをはっきりと示してくださっています」

今回は「禁煙、コロナ、クリスチャンの三題話をしようと思います」と、講演を進めた。

まず、外科医が手術中に喫煙している姿を撮った1964年のタバコのポスターを紹介。当時男性の84%が喫煙者だったという。高橋さんが禁煙外来を創設した頃も、隣の診察室から煙が入ってきたほど、病院ですら喫煙に関して無頓着だった。

「現在喫煙者の多くは30代から50代の男性。禁煙教育が行き届いたせいか、若い人は少ないです。大切なことは、家族やペットにまで影響を与える受動喫煙はゼロでなければならないということと、禁煙は薬によってとても簡単な作業になったということ、さらに加熱式タバコや電子タバコは発がん性物質を含み“サタンのわな”と言ってもいいほどの危険性をはらんでいること、そして禁煙継続には祈りが必要だということです」

喫煙はニコチン依存という病気であると強調。ニコチンはアルコールや覚せい剤などと同じように、脳の最底辺の部分に受容体という受け皿を作って離れがたくしてしまう。「まさにサタンのもたらしたものだと思います」
良い薬の登場で喫煙は難しいものではなくなったが、やはり「癒やしてくださるのは神様です」というのが、高橋さんの実感だ。

「医学が進歩して、医者は神なんか関係ないと思っているのではと、考えている人は多いでしょう。私も10年くらいして、自分の治療に自信を持てるようになり、治療するのは自分だと思うようになりました。でも、40代になると、全く間違いだったとわかってきました。私の治療が悪くても良くなる人がいる。最高の治療でも悪くなる人がいる。病気を癒やすのは神だと、クリスチャンでない医者でも感じざるを得なくなります」

(この後、多くの医師が感じる“サムシンググレイト”について語ります。2021年6月6日号掲載記事