オリンピックで反人身取引「It’s a Penaltyキャンペーン」開始

性犯罪防止に向けて啓発活動

活動ポスター

性犯罪などの人身取引は大きなスポーツイベント中に増加する傾向にある。キリスト教理念に基づき、子どもたち、若者たちの性被害や労働搾取など人身取引の防止と啓発活動を進めている一般社団法人ゾエ・ジャパン(東京都町田市)が、東京オリンピック・パラリンピックシーズンの7月1日から9月第1週目まで、反人身取引キャンペーン「It’s a Penaltyキャンペーン」に協力する。
【藤原とみこ】

性犯罪の犠牲になるのは抵抗できない少年、少女たちだ。今回、海外のオリンピックやワールドカップなどでキャンペーンを繰り広げてきたイギリスの反人身取引活動団体「It’s a Penalty(イッツ・ア・ペナルティ)」の協賛団体として、ゾエ・ジャパンが協力することになった。

東京では独自プログラムとして実施するが、2016年リオオリンピック・パラリンピック大会では国際オリンピック委員会公認のキャンペーンとなった実績もある。これまで14年のブラジル・サッカー・ワールドカップを皮切りにアメリカのスーパーボウル、リオデジャネイロ五輪や平昌冬季五輪など世界のスポーツイベントで、現地のNPOやNGOと協力してキャンペーンを展開してきた。

人身取引とは国際組織犯罪として定義されているもので、買春、JKビジネス(女子高生の接客サービス)、性産業などの性的搾取、外国人技能実習制度の悪用などの労働搾取、児童買春、子ども兵士などの児童の人身取引、臓器売買などを指す。

日本での人身取引の大半は、性的虐待画像のネットへのアップ、販売、援助交際などの性的搾取と労働搾取だ。ゾエ・ジャパンは講演やメディアを通した啓発活動や被害者相談支援、政策提言などを行っている。
キャンペーンでは、被害に遭ったり、危険な目に遭いそうになったり、年齢差のある不自然なカップルや、挙動不審の男性などを見かけたらすぐに通報できるようホットラインを設けて、警察と連携し、対応や取り締まりの強化を要請する。

空港やホテル、公共交通機関に働きかけ、ポスターの掲示や、元オリンピック選手らトップアスリートによるメッセージビデオの配信、SNSで身を守るためのガイドブックを提供するなど、あらゆるツールを使って人身取引の啓発及び予防と救済を行う。

活動ポスター

日本でのキャンペーンの実現に、ゾエ・ジャパンは「大きな一歩」だと、期待を寄せる。
「もしオリンピックが開催されなくても、キャンペーンはやります。日本で人身取引が起きているということが認知される大きなきっかけになるからです」

ゾエ・ジャパンは現在、アメリカのNPOの協力を得て、人身取引相談及び通報ホットラインの準備を行っている。できるだけ多くの声を取り上げるべく、ボランティアを募り、被害者に直接対応する重要な部分での協力体制づくりを進めている。さらに祈りのネットワークを築き、教会やクリスチャンコミュニティーで若者たちに向けた啓発活動を行う予定だ。

ゾエ・ジャパンは、日本のクリスチャンに向けて、次のような協力を呼びかけている。
「ぜひ祈りの支援をお願いします。そして、クリスチャンの方々に人身取引のことを知ってほしいです。人身取引防止啓発に関する話を、インターネットや直接に出向いてお話しさせていただきたいです。教会の若者たちに向けた啓発教材も、インターネットなどを通して提供しています」
問い合わせ・連絡先ゾエ・ジャパン info@gozoe.jp、相談窓口https://www.gozoe.jp/sodan