入管法の改正が先送りされたが、日本における難民問題は深刻だ。埼玉県川口市、蕨市周辺には約2千人のクルド人が故郷を逃れて暮らす。だが誰一人難民認定されていない。『日本で生きるクルド人』(鴇沢哲雄著、ぶなのもり、千760円税込、四六判)はそんな在留クルド人の生活をルポ。難民や入管の問題にかかわる人の取り組みも紹介する。日本語教室、クルド料理教室、ケバブ店、ネブロス祭など文化交流の様子も伝える。


クルド人の故郷トルコ周辺はどのような課題を抱えていたのか。『その虐殺は皆で見なかったことにした トルコ南東部ジズレ地下、黙認された惨劇』(舟越美夏著、河出書房新社、2千640円税込、四六判)が明らかにしたのは、シリア問題を背景に、トルコの国内問題を黙認したEUをはじめとする国際社会の姿だった。著者たちは虐殺の現場を歩き遺族の声を届ける。

 
『まんが クラスメイトは外国人 課題編 私たちが向き合う多文化共生の現実』(「外国につながる子どもたちの物語」編集委員会編 みなみななみ[まんが] 明石書店千430円税込 A5判)は、難民、貧困、ヘイト問題、戦争責任などを背景にした具体的葛藤例をマンガで伝え、実感をともなって理解できる。基本的知識を解説する姉妹編『入門編』もある。


『コンヴァージェンス・カルチャー ファンとメディアがつくる参加型文化』(ヘンリー・ジェンキンズ著、渡部宏樹・北村紗衣訳、晶文社、4千70円税込 A5判)が紹介する「コンヴァージェンス・カルチャー」とは、多数のメディアを横断するコンテンツの流通と、それと同時に形成される消費者の参加型文化のことだ。本書は技術革新だけではなく、日常を意味づけする人間の力に注目し、人々の協働による「集合的知性」を期待する。事例の一つとして『ハリー・ポッター』シリーズへのキリスト教保守派による反応が挙げられる。その中で「識別運動」を紹介する。「識別運動」は現代文化に背を向けるのではなく、むしろ文化を分析し、対話の場をつくる働きだ。現代文化を盛り込んだ米国のキリスト教映画・音楽などの市場形成についても概観する。

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