「風景」と信仰 環境保護にも可能性 内村鑑三の文献を研究  河田牧師が報告

「風景」は近代以降に形成されたもので、環境をとらえる「新しい見方」だった。そこにはキリスト教、自然科学、美学がかかわる。公園行政勤務の経験がある河田俊郎牧師(日本キリスト教会加西伝道所)は、内村鑑三の文献から「生活体験にともなう信仰と自然科学的知識と自然の美意識の相互の影響の様相」を研究している。「風景を考察する意義は美学的な観点により、自然破壊の防止、新しい環境創造に資するという期待がある」とも話す。第三五回内村鑑三研究セミナー(『内村鑑三研究』編集委員会主催)が6月12日にオンラインで開催され、河田氏が研究概要を話した。

もともと日本では花樹や名勝史跡が鑑賞されてきたが、近代になると、ロマン主義や西洋近代絵画の影響で、新しい風景観がもたらされた。先行研究として内田芳明氏の言及を紹介した。内田氏は『現代に生きる内村鑑三』で「内村の場合、風景論に媒介されて、救済思想として血肉化されて生み出されている」と注目する。また『風景の発見』では「風景において自然の生命と心を観得する風景感情の覚醒が生ずる」と述べた。河田氏は、内田氏をふまえ、内村の和歌、詩、旅行記、日記といった日常的具体的な記述から考察を進める。

(河田氏は、『過去の夏』、「元始的日本」などから内村の信仰にある“被造物”を見つめます。2021年7月11日号掲載記事