世界福音同盟(WEA)総主事のトーマス・シルマッハー氏は、9月4日に国際自然保護連合(IUCN)の宗教者会合で福音派の視点を示した。WEAホームページ(worldea.org/)で伝えた。

創世記1章26、28節を引用して、神の被造物を守ることは福音派の信念の核となる要素であると述べた。「罪」の問題にも触れ、「新しい規則づくりと過ちの訂正だけではなく、創造主だけが可能にする内側の転換が必要」と強調した。

「嫉妬、貪欲、搾取から離れるには、他人に対する道徳的な憤りや批判以上のものが必要。それは私たち自身の批判的な内省と悔い改めから始まります」

マタイ22章37~39節を引用し、「神と被造物にとって良いこと、他のすべての人々にとって良いこと、そして私たち自身にとって良いことは、一致すべき」と述べた。

同会合はWEAと緊密な関係があり、IUCNの長期メンバーであるキリスト教NGOロチャ・インターナショナルの連携でなされ、ローマカトリック教会、民間宗教、大乗仏教、イスラム教、ヒンドゥー教の代表者らが出席した。

世界ローザンヌ運動は、9月23日に同ホームページ(lausanne.org/)でロチャ・インターナショナル神学部長で、ローザンヌ被造物保護担当者のデイブ・ブックレス氏の論考「人類のための厳戒警報 生態学的な暗闇は世界宣教にどんな意味をもたらすか」を公開した。

8月に発表された「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の最新報告が警告する危機的状況を伝えた。一方、9月1日に発表されたローマ教皇、正教会総主教、カンタベリー大司教による「被造物の保護のための共同メッセージ」を「聖書的な基盤がある」と評価して紹介した。同メッセージの背景にある世界的な環境キャンペーン「被造物の季節」(9月1日~10月4日)の計画プロセスにはブックレス氏も参加している。

ローザンヌ運動が発行した「ケープタウン決意表明」(2010年)では、「被造物保護は福音の問題であり、キリストの支配権の範囲内」(Ⅰ・7・A)とあることを紹介し、「ぜい弱なコミュニティー、将来の世代、自然界への影響を理解し、深く悲しみ、嘆く必要がある」と勧めた。

11月に開かれる第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に向けて祈りや行動を要請した。取り組みとして、ローザンヌ運動とWEAが連携する被造物保護ネットワークが協力する気候危機へのとりなし」(climateintercessors.org)と「キリスト教気候オブザーバー」(ccopclimate.org)へを紹介した。

24年の第四回世界ローザンヌ宣教会議へ向けた取り組みも進める。「人間と社会と被造物の三者は皆、罪のゆえに損なわれ、苦しんでいる。この三者は皆、神のあがないの愛と宣教の対象に含まれる。この三者は皆、神の民の包括的宣教の一部でなければならない」(Ⅰ・7・A)を引用し、「私たちは、イエス・キリストの良い知らせが神の創造にとっても良い知らせであることを説教し、証しすべき」と勧めた。

(2021年10月10日号クリスチャン新聞web版掲載記事)