著者は大阪大学工学部出身の工学博士。日立製作所に勤務され製造部長、そして関連会社役員を務められ技術方面の著書も上梓された技術・経営のベテランである。高校生の時に受洗され、転勤に伴って多くの教会に所属、教会歴も長いベテランでもある。

本書では伝道に燃える教会を目指し、そのような教会をつくり上げるための知恵を、現場経験をしっかり踏まえて体系的に記述されている。

第1部では、自身が経験と実践に当たられた南房伝道所、そして南房教会への成長を、役員の実践を中心に語られる。それは、開設、会堂・牧師館建設、牧師招聘、法人格取得、そして開拓伝道に及び、深みのある事例紹介となっている。写真や図表もあり引き込まれる。

第2部では、教会運営の基盤として「マネジメントとリーダーシップ」が理論を駆使して述べられる。教会の意思決定、リスク管理、人間関係について、南房教会での実践経験も踏まえながら体系化が試みられている。特に教会の意思決定における「デルファイ法」が紹介され、課題に対する教会全体での合意形成の方法が具体的に説明されている。著者が力点を置いた方法であり、直ぐに活用できる説明となっている。第2部の後半では、初めて役員になられる方々の基礎的心がけやリーダーシップが語られている。聖書から古典からリーダーへの金言集も納得を深める。

第3部では、これからの日本伝道が統計的分析をベースに社会の構造変化、教会の構造変化が詳細に示される。教会は社会の真っただ中にあって「見張りの使命」が強調される。そして伝道に燃える教会づくりのために、一人一人の熱意、そしてそれを引き出す役員のマネジメントとリーダーシップが説かれている。最後に妻ゲーテとルターの感銘深い逸話が紹介され、主の宣教命令に応えることが奨励されて、著者の祈りで閉じられている。

教会では、マネジメントやリーダーシップは企業のもの、お金儲けのためのものという誤解が根強い。本書はその誤解を打破すべく、教会にとって与えられ活用すべき課題を提起している。教会が与えられた知恵を活用すべく、本書が刊行されたことをよろこび、ぜひ一読をお勧めしたい。(評・島田恒=関西学院大学神学部客員講師)

『実践教会役員 マネジメントとリーダーシップ』坂本雄三郎著、リトン、1,760 円税込、A5判

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