【2・11 信教の自由を守る日】続く「君が代」強制との闘いと展望 奥野泰孝(芦屋福音教会会員 大阪府立支援学校教員)
昨年、大阪の元府立高校教員の「再任用拒否国賠訴訟」の控訴審で勝利判決が出た。「君が代」処分と闘っている者にとって朗報であった。
原告の梅原さんは、大阪府国旗国歌条例下、「君が代」不起立で2度の戒告処分を受け、2017年3月の定年退職を前に再任用を申請した(まだ年金を受け取れる年齢ではなかった)。
しかし再任用拒否。その理由は、府教委の「国歌斉唱時の起立斉唱を含む上司の職務命令に従いますか」との意向確認に「答えられない」と返答したから。
大阪では生徒に「面接時、思想・良心に関するような質問には答えないように」と指導してきた。府商工労働部は「その意向確認は違反質問に当たる」と指摘した。府は翌年の意向確認で、「起立斉唱を含む」を付けず「職務命令に従いますか」と聞く。
おかげで、戒告2回、減給1回の私は、再任用された。府が最高裁上告したのは、逆転できると考えてだろうか。意向確認は現代の踏み絵。これまで最高裁は、処分は重過ぎるという判断はしても、「君が代」強制が、憲法19条、憲法20条の憲法違反かの判断は避けたままである。
大阪府の国旗国歌条例は11年6月に府議会を通った。東日本大震災の年。その春に府会議員の過半数が大阪維新になり、その数で条例は通った。大惨事のあと社会が恐れの空気に包まれ感情に訴えかける発言が大きな影響を持っていた時だった。
大阪「再任用拒否訴訟」勝訴だが…
13~15年の大阪府の中原徹教育長(弁護士)は、斉唱時に教員の口元チェックをするように校長に指示を出した。彼が府立高校の校長だった時(10~12年)ブログで卒業生が「教員を目指しているがクリスチャンだから君が代を歌えない、どうしたらいいですか」と相談すると「公立学校は諦めなさい。私学に行けばいい」という主旨の返答をしていた。
(奥野氏は「信教の自由よりも優先されているものがある」と論じます。2022年2月6日号掲載記事)
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