草加キングス・ガーデンは、ケアハウス、特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護など多岐にわたるサービスを運営。「夕暮れ時に光がある」、「これらのわたしの兄弟たち、それも最も小さい者たちの一人にしたことは、わたしにしたのです」、「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」の三つの聖句を掲げ、人と地域に仕えてきた。

年間1万6千人を受け入れていたボランティアは、コロナで千人に減少したが、それにより受け身の姿勢からの脱却が起こったという。地域支援主任の長野百合子さんは、「利用者の力を見せていただいた一年だった」と喜びをもって振り返る。

高校生との交流。窓越しではあるが「大変良い時間だった」と長野さん。

 

毎日の礼拝には40名以上が集っていた。ケアハウス入所者たちは、特養入所者たちを礼拝に誘い、聖書や賛美歌のページを開くなど助けながら、ともに礼拝をささげていた。

しかしコロナ禍となり、礼拝室から全居室へ映像を中継するリモート礼拝に移行した。感染予防のため両施設間の往来は停止された。ケアハウス入所者は、今なおリモート礼拝のみの特養入所者たちの名前を挙げては、スタッフに様子を尋ねている。長野さんは「今は実体の交わりが途切れていても、心はつながり続けている」と証しする。

クラスターが発生した時、大量のタオルが必要になったが、交流のある教会や団体からの寄付でただちに満たされ、手作りのタオルエプロンも定期的に届くようになった。クリスマスには、教会員から入所者ひとりひとりに宛てたメッセージカードも届いた。

近隣の中学校・高校との交流も、形を変えつつ継続した。各校の書道部と共同で、人・互・結・創・幸の一文字ずつをテーマに連作した。入所者らは「みんながいるから幸せ」という気持ちを分かち合った。家庭科部から贈られた“つるしびな”は大変な好評を博し、感化された入所者らも、難しい制作に挑み始めた。今後も季節の装飾を共同制作する予定だ。生徒の作品を借り受けた展示会も行った。生徒たちは、自己表現から他者ための表現へと成長。「この活動を自校の伝統とし、未来を育てたい」との声も上がった。学校側も「活動が制限される中、生徒の成長の機会となり、大変良かった」と評価。草加に集う仲間としての意識が共有された。

市内5中学校の家庭科部より、雛祭りの飾り“つるしびな”が贈られた。

コロナ禍でも現状維持にとどまらず、新たな取り組みも始まっている。宮代町にある宮代特別支援学校の学習プログラムに、草加キングス・ガーデンとの交流が組み込まれた。最初は動画での交流だったが、生徒ひとりひとり宛てにお礼のメッセージを出すと、入所者ひとりひとり宛てに返信が届いた。「一緒に生きている」という実感が直接分かち合われた。

「会えないけど心はつながっている。つながらないと始まらない。つながれば何かが変わる」。そう信じてきた草加キングス・ガーデンは、アクリル板越しの面会をようやく再開できた入所者家族の心へのアプローチを、今後の課題として挙げている。

施設長の栗原基さんは、「社会に支えられ、社会に仕える」の理念をふまえつつ、「5月に予定されているコロナの5類移行が、活動再開や拡大への大きなきっかけになるだろう。さらに6月には開設20周年を迎える。記念誌発行、ビデオ制作などを企画している。これからも社会へ出ていく法人でありたい」と今後の希望を語った。
【間島献一】

2023年04月30日号 04面掲載記事)

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毎日の礼拝には40名以上が集っていた。ケアハウス入所者たちは、特養入所者たちを礼拝に誘い、聖書や賛美歌のページを開くなど助けながら、ともに礼拝をささげていた。

しかしコロナ禍となり、礼拝室から全居室へ映像を中継するリモート礼拝に移行した。感染予防のため両施設間の往来は停止された。ケアハウス入所者は、今なおリモート礼拝のみの特養入所者たちの名前を挙げては、スタッフに様子を尋ねている。長野さんは「今は実体の交わりが途切れていても、心はつながり続けている」と証しする。

クラスターが発生した時、大量のタオルが必要になったが、交流のある教会や団体からの寄付でただちに満たされ、手作りのタオルエプロンも定期的に届くようになった。クリスマスには、教会員から入所者ひとりひとりに宛てたメッセージカードも届いた。

近隣の中学校・高校との交流も、形を変えつつ継続した。各校の書道部と共同で、人・互・結・創・幸の一文字ずつをテーマに連作した。入所者らは「みんながいるから幸せ」という気持ちを分かち合った。家庭科部から贈られた“つるしびな”は大変な好評を博し、感化された入所者らも、難しい制作に挑み始めた。今後も季節の装飾を共同制作する予定だ。生徒の作品を借り受けた展示会も行った。生徒たちは、自己表現から他者ための表現へと成長。「この活動を自校の伝統とし、未来を育てたい」との声も上がった。学校側も「活動が制限される中、生徒の成長の機会となり、大変良かった」と評価。草加に集う仲間としての意識が共有された。

コロナ禍でも現状維持にとどまらず、新たな取り組みも始まっている。宮代町にある宮代特別支援学校の学習プログラムに、草加キングス・ガーデンとの交流が組み込まれた。最初は動画での交流だったが、生徒ひとりひとり宛てにお礼のメッセージを出すと、入所者ひとりひとり宛てに返信が届いた。「一緒に生きている」という実感が直接分かち合われた。

「会えないけど心はつながっている。つながらないと始まらない。つながれば何かが変わる」。そう信じてきた草加キングス・ガーデンは、アクリル板越しの面会をようやく再開できた入所者家族の心へのアプローチを、今後の課題として挙げている。

施設長の栗原基さんは、「社会に支えられ、社会に仕える」の理念をふまえつつ、「5月に予定されているコロナの5類移行が、活動再開や拡大への大きなきっかけになるだろう。さらに6月には開設20周年を迎える。記念誌発行、ビデオ制作などを企画している。これからも社会へ出ていく法人でありたい」と今後の希望を語った。
【間島献一】