公益財団法人埼玉 YMCA創立50周年記念式典が3月21日、埼玉県さいたま市のバプ連・浦和キリスト教会で開かれた。

始まりは、1973年に旧大宮市(現さいたま市)で設立した「大宮YMCA」。隣接する旧浦和市(現さいたま市)においてもYMCA設立の動きが起き、75年に埼玉YMCAとして設立された。現在浦和・所沢・川越の3拠点に加え、行政の指定管理業務も手掛け、幼児教育、健康教育、国際語学教育、特別支援教育、野外教育、放課後児童健全育成、地域協働などの働きを展開する。

上林氏が奨励した

式典では日本YMCA基本原則、埼玉YMCAの使命を会場一同で唱和。ヨハネ17章21~17節の朗読の後、上林順一郎牧師 (単立・日本キリスト教 所沢教会)が奨励した。
歴史学者E・H・カーの言葉や聖書の視点から歴史を想起することを強調。YMCAの正章のデザインにある、聖書(ヨハネ17・21)、BODY(身体)、MIND(知性)、SPIRIT(精神)、キリストを表わす「XP」の文字、などについて読み解き、「原点を大切にして新しい50年の歴史を始めてほしい」と勧めた。

交流会では、吉野勝三郎氏(埼玉YMCA評議員会会長)が、YMCAを支えるワイズメンズクラブ立ち上げの思い出を語り、「様々な議論があると思うが、YMCAのC(Christian)を大切にしていただきたい」と述べた。
設立前、旧大宮市内の教会では、エキュメニカル運動として、市民クリスマスを開催したこと、その準備が難航した反省として、個人参加のYMCAが進められたことを、仲矢宏基さん(同元財団常議員会議長)は振り返った。大迫裕男さん(同元財団理事長)は、大宮と浦和の関係性に触れつつ創立時を回顧した。

小谷総主事

東京YMCAでは、1970年に創立90周年を迎え、首都圏にYMCAを創立する機運もあった。「クリスチャンが自分の地域で具体的な働きにより証しすることを励ました」と斎藤實さん(YMCA史学会理事長)は語る。

歴代総主事からは、関係者との思い出、事業の展開、全国のYMCAとの協力、経営の苦労などが話された。他都市の総主事からは「埼玉のスタッフは若く、人を大事にしている」と特徴が述べられた。学生、社会人のユースリーダー(ボランティア)2人は、子どもたちとのかかわりや、リーダーたちで工夫しながら活動する楽しさを語った。

小谷全人さん(埼玉YMCA代表理事・総主事)は「人間の目で見てのうれしい、悲しい、ではなく、神の業が毎日、その場に働いてくれたと受け止めて、前に進みたい。これからも喜び、悲しみを共有し、戒められながら共に歩みたい」と抱負を述べた。