修学院フォーラム「いのち」第1回(日本クリスチャン・アカデミー関西セミナーハウス活動センター主催)が、4月22日に京都市左京区の同所で開かれた。名古屋学院大学商学部准教授の神山美奈子さん=写真=が「研究の主体でもない、対象でもない『女性』―日韓キリスト教関係史から探る」題して、澤正彦、常石希望、芦名定道、柳東植の各氏の研究成果を参考に語った。

神山さんは高校時代に「慰安婦」について学び、大きな衝撃を受けた。これが韓国に関心を持つきっかけとなる。関西学院大学神学部の聖書学の授業で、1970年代に韓国で誕生した「民衆神学」に出会い、大学院在学中に交換留学した韓国の延世大学で、韓国キリスト教史やフェミニスト神学を学んだ。梨花女子大学では「女性神学」を学び、感銘を受けた。帰国後、民衆神学に女性の視点を入れた修士学位論文「韓国女性神学研究―教会論を中心に―」を提出した。

韓国籍の男性と結婚してソウルに移住すると、日本女性が韓国で生活することの大変さを痛感した。さらに日韓プロテスタント史の研究主体、研究対象がほぼ「男性」中心であり「女性」という視点がないことにも気付いた。「韓国の人たちの声を聞きとらなければ」という思いに駆られた。

プロテスタント宣教は、日本は1800年代中盤から、朝鮮半島は後半から拡大する。日本の宣教が、近代化の中で、知識人や富裕層を対象にした西洋文化の教養や知識として受け止められたのとは違い、朝鮮では民衆を対象に「歴史に介入する神」として捉えられた。民衆とは、労働者階級や女性、農民などをいう。この力なき民衆たちが教会を選んだ。イエスの中に民衆を見、民衆の中にイエスを見たからだ。

韓国の人々の神概念には、土着のシャーマニズムを背景にした最高神という考え方がある。プロテスタント信仰を受け入れやすい土壌があった。教会で活躍したのは、慣れ親しんだシャーマンのように、良き相談者となった女性伝道者たち、、、、、、、、、【藤原とみこ】

2023年05月21日号 02面掲載記事)