はこぶねウェブセミナー「DVカウンセラーに聞く! 大切な関係の守り方」(はこぶね便事務局主催)が4月10日から3回にわたりオンラインで開催された。講師は長年、DV被害者支援・加害者更生の働きをしてきた栗原加代美さん(NPО法人女性・人権支援センター ステップの理事長)。第3回目のテーマは「幸せはここにある 5つの基本的欲求の充足」。
4月23日号1面:「DVカウンセラーに聞く! 大切な関係の守り方」 怒りで全てを失わないために
4月30日号:「DVカウンセラーに聞く! 大切な関係の守り方」「傾聴すればすべては変わる」 はこぶね便ウェブセミナー➁

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「僕はあなたを幸せにする自信はありません。でも、僕が幸せになる自信はあります」。最初に、映画「釣りバカ日誌」に登場する主人公、ハマちゃんが、妻のみち子さんにプロポーズする言葉を紹介。「非常に選択理論的な言葉だ。選択理論では、『相手を変えることはできない』が原則。多くの男性は『僕はあなたを幸せにします』と言うが、そうできなくて妻から文句を言われてしまうのです」
その上で、⑴愛、所属の欲求(愛し、愛されたい。仲間の一員でいたい、人と仲良くしたい)、⑵力の欲求(認められたい、勝ちたい)、⑶自由の欲求(自分のやりたいようにしたい)、⑷楽しみの欲求(新たな知識を得たい)、⑸生存の欲求(飲食、睡眠、生殖などの身体的欲求)、といった五つの基本的欲求を挙げ、その特徴について説明した。「この欲求は生まれつき皆持っており、欲求の強さ、弱さは人によって異なる。また、その強さ、弱さは一生涯変わることはなく、生涯、満たし続けていかなければならない」
「自分の欲求を満たしながら、相手の充足欲求の強いところを支援する。これが結婚における愛の責任だ。相手に無関心で、相手の強い欲求を知ることがなければ、喧嘩(けんか)ばかりになってしまう。お互いが自立し、相手の欲求支援をし始めると、クオリティータイム(共同作業)が楽しくなり、自然とけんかもなくなって、日常会話も弾んできます」
その欲求を知るために、⑴どうしたの?(起きた事柄を聞く)、⑵どうしたいの?(願望を聞く)⑶どうしたらいいの?(思考と行為を聞く)といった、愛を提示する三つの質問を伝え、その三つの質問を使って良い結果が出た事例を紹介した。「ステップに通っていたある小学校の先生は、この三つの質問を使って、手に負えないほど荒れていた小学1年生の子を、6か月で劇的に変えた。この子が先生の膝の上に座っている写真を母親に見せると、母親は大泣きし、先生ももらい泣きをした。この三つの質問は、その子を変えただけでなく、クラスも変えたのです」
相手を傷つけてしまった時の「償い」についても、さだまさしさんの「償い」と言う曲を例に語った。「償いとは、余裕の中でするのでなく、犠牲を伴うもの。パートナーの傷の深さを知るから。謝罪をして赦される時も大きな幸せの一つだ。承認欲求の、愛の欲求が満たされる時です」
参加者からは、「自分の価値観で幸福感を考えてしまいがちだが、いろんな欲求があるということが分かった。これからは『この人にはこういう欲求があるんだ』と自分なりに分析しながら人付き合いをしていきたい」、「これまで、加害者は変われないという思いが勝っていたが、神様が創造された人間は赦し合える、という希望を持つことができた」などの感想が聞かれた。
最後に、栗原さんはこう結んだ。「五つの基本的欲求は、神様によって満たされる。神様によって愛され、認められ、罪から解放され、楽しみが与えられ、健康も与えられている。神様に依存することはいいことです」(終わり)
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