河野 優 石神井福音教会協力教師、前日本同盟基督教団法人事務主事

教会の敷地と隣接地の敷地の境界線を明確に把握しているだろうか。境界線は自己の所有地、つまり財産に直接かかわる問題であることからトラブルになりやすい。それゆえ、教会にとっても財産管理として境界線を把握しておくことは大切である。

それでは、どのようにして境界線を把握するのか。まず確認すべきは「境界標」である。境界標とは、境界線の目印として地面に埋め込まれているもので、金属製のプレートやコンクリート製の杭(くい)、金属製の鋲(びょう)などの種類がある。プレートや杭の場合は正方形のものに赤線で矢印が入っていることが多いので、見たことがあるかもしれない。境界標は少なくとも敷地の「角」に当たる部分(四角形の土地であれば四隅)に設置されるので、四つの境界標を結ぶ線が境界線となる。境界標を確認する際、地積測量図(法務局で取得できる)などの図面があると、境界標の種類と設置箇所がわかるので、そろえておくと良い。

以上の作業で測量図面と現況(境界標)が確認でき、塀や柵が境界線と一致していれば、とりあえず現状を知りうる範囲で境界線を把握できたと言えるであろう。しかし、図面と現況が異なったり、境界標がなかったりしたら、どうすればよいのか。境界標がなければ土地家屋調査士に依頼し、改めて境界標を設置(復元)することができる。図面と現況が異なる場合は、いささか面倒なことになることが多い。

一つの事例を紹介する。ある教会が土地付きの中古住宅を購入することになり、手続きを進める中で、取得する物件の塀が隣地に1メートル以上越境していることが判明した。業者に調査を依頼したところ、住宅が建てられた当時、隣地は親族の所有で、住宅を建てるときに敷地が狭かったので隣地所有者である親族の了承を得て、登記上の敷地を越えて塀を設置したが、それに伴う登記手続きをしていなかったという。そこで仲介業者が隣地所有者と協議し、測量や登記などの手続き費用を教会がすべて負担することを条件に、現況の塀を境界線として越境部分を無償で贈与してくださることとなった。

この事例は隣地所有者の理解があったので、感謝なことに何もトラブルなく円満に解決することができた。しかし、塀を登記上の境界線に移設すること、あるいは越境部分の敷地を買い取ることなどを請求された可能性もある。費用負担は少ないが敷地が減ってしまう、敷地は増えるが費用負担が大きい、いずれも教会にとっては悩ましい問題となる。

隣地所有者との関係を誤らない

それでも隣地所有者との関係が悪ければ、そもそも話し合いすらできないような状況になるかもしれない。私が聞いた他の事例では、、、、、

2023年11月05日号 03面掲載記事)

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