連載「祈り」つなぐ~JCE7各集会から③ 日本的家族観をこえて 「次世代育成検討」「ファミリーミニストリー」
第七回日本伝道会議(JCE7)の各集会を宣言文「『おわり』から『はじめる』私たちの祈り」(以下宣言文「祈り」)に沿って伝える。連載第3回は「次世代」や「ファミリー」についてのプロジェクトから。
前回
☆① 全年代で「次世代」育てて 「次世代育成者のためのカンファレンス」上 2023年10月29日号
☆② 共に成長する姿見せたい 「次世代育成者のためのカンファレンス」下 2023年11月05日号
2.立場を越えた宣教協力を「はじめる」
宣言文「祈り」の「2.立場を越えた…」には「…若い魂が主と出会い、神に由来する自分の存在意義をはっきりと知ることにおいて健全に成長し…」とあり、各世代の課題を挙げていく。
「次世代育成検討プロジェクト」は、次世代育成についての現状と課題を踏まえつつ教会教育の見直しなどを提言することを目的として結成された。
最初に現状分析として、中西健彦さん(JECA・北栄キリスト教会牧師、日本福音同盟〔JEA〕宣教委員)が宗教2世問題に触れ、信仰の押し付けでも放任でもなく、対話によって子どもたちの疑問を共に考えていく信仰継承の必要性を語った。また「次世代」を若年層だけでなく全世代と捉え、ライフサイクルに応じた課題に対し世代間で励まし合い成長する「世代間循環」を提唱した。
続いて教会教育の視点から、杉本玲子さん(新生連合・町田中央教会教育牧師)が、世代を越えた礼拝・交わり・奉仕を通しての信仰育成を事例を交えて紹介。「若者が活躍できるのは中高年が陰で支えているから。次世代育成に全世代が関わっている」と語った。
最後に岩上真歩子さん(ホーリネス・久喜教会牧師、D6ジャパンディレクター)が、「教会と家庭が協力する」「全世代のキリスト者がつながり学び合う」「教会や家庭の営みを御言葉に基づいて『なぜ』と問う」必要を訴えた。三者の発題には教会のすべての人がつながり成長する共同体の姿が示されていた。
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宣言文「祈り」では「独身として歩む人々と結婚に導かれる人々」それぞれの祝福を祈り、「神の愛のうちに家庭が築かれ、家族一人一人が、暴力や虐待などあらゆる危険から守られ」るよう祈る。
プロジェクト「ファミリーミニストリー」は、17団体でつくる「ファミリーミニストリーサミット」が「家庭における神のかたちの回復」を目的に開催。水谷潔さん(JECA・春日井聖書教会協力牧師)が「戦後のクリスチャン家庭~その変遷、課題、展望」の題で話した。
戦後第一世代の家庭を、アニメ「巨人の星」が象徴するとし、そこに描かれた家族の不健全さはクリスチャンホームにも共通して存在する、と観察。聖書の指針よりも時代のメンタリティーが優越し家庭を形成してきたこと、教会の関心が魂の救いに終始し、家庭を軽視し介入しなかったことを指摘した。
さらに根底に、福音理解の未熟さがあると分析。「妻は夫に従う」を見て「夫は妻を献身的に愛する」を見ず、結婚の本質である交わりが失われた夫婦。「子どもは両親に従いなさい」を見て「父と母を離れ」を見ず、信仰と親への服従が結び付き、親からの自立と同時に、神様からも〝自立〟してしまう子ども。これらを「聖書による価値転換が起こらず、逆に日本的家族観が聖書によって権威づけられた」と総括した。
第二世代はそれに反発し健全化するも未信者同様になり、しかし今日の第三世代は家庭についてのミニストリーを必要としている、と述べた。聖書の家庭の破れに学び、「課題があるから祝福されていない」「問題があってはならない」という誤りを終わらせ、課題を話せる正直な交わりを始めることに希望がある、と励ました。(つづく)
(2023年11月12日号 07面掲載記事)