母子の保護 国も取り組みへ

思いがけない妊娠や育児が困難で苦しむ女性たちのために24時間365日相談・支援を行っている神戸市北区の公益社団法人「小さないのちのドア」の、設立5周年記念イベントが、10月28日に神戸市のハーバーホールで開かれた。記念講演は「夜回り先生」として子どもたちの非行防止や更生に尽力している水谷修さん。

小さないのちのドアは、助産師の永原郁子さんと保健師の西尾和子さんを中心に、2018年からスタート。これまで2万件をはるかに超える相談に対応してきた。代表理事の永原さんが挨拶に立ち「女性たちと赤ちゃんを一人でも守ろう、をスタッフの合言葉にしてきた5年間でした」と、振り返った。

今年9月にこども家庭庁が公表した児童虐待相談対応件数は約21万9千件で、過去最多を更新した。虐待死で最も多いのは、生まれたその日に実母によって殺害されるケースだ。追い詰められた女性たちの多くは、頼る人も家もない過酷な環境にある。

「相談できる場所があったら、助けられた命がある。一人で苦しまないで」

その思いで、経営していた助産院の一角で始めた活動の一部は現在、県の委託事業となった。今後、国の取り組みも実現しそうだ。小さないのちのドアが投じた一石が、今全国に波紋を広げつつある。

「わずかな仲間との船出でしたが、大海原には大小の助けの船がありました。社会は温かい。5年間の実感です。その温かさを、女性たちに伝えるのも私たちの仕事です」

講演で水谷さんは「死に急ぐような子どもたちに『生き抜いて』と叫び続けてきた。子どもの幸せをつくるのは大人だ」と、力強く呼びかけた。


左から西尾さん、水谷さん、永原さん

2023年11月12日号 06面掲載記事)

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