世界の「傾向」は文化によって異なる 新しい声の発言の機会を 第四回ローザンヌ世界宣教会議への旅④
前回
第四回ローザンヌ世界宣教会議(9月22~28日韓国仁川、オンライン)に向けて、毎週配信中の「ローザンヌ運動ポッドキャスト」(URLlausanne.org/podcast-series/lausanne-movement)から主要な論点を紹介する。第7~11回(2023年11月~配信)は、2050年を見すえて宣教状況を分析した「大宣教命令の現状報告」(以下「報告」、URLlausanne.org/report)について、同ディレクターのマシュー・ニューマン氏と各専門家たちが各回で語った。
第7回配信は、ニューマン氏が「報告」の概要について話した。「報告」では、包括的で、独自のフレームワークを定め、上位のトレンドだけでなくその深層も探った。突飛な未来予測は避け、「問い」を提示した。「世界的な傾向は様々な文化において異なる形をとる。ダイナミックな地域の現実がある」とも述べた。
新しい声の発言の機会を
第8回配信は、宣教学専門のアレン・イェー氏が「多中心の宣教」について語った。西洋中心の宣教の在り方からの変化をたどった。2050年に向けてアフリカにも注目し、「キリスト教の重心はサハラ以南、イスラム教はサハラ以北。共存の在り方の実験場になる。アフリカ独自の神学も試みられている。より多くの訓練、書籍、弟子、神学校が必要」と述べた。
ニューマン氏はこの回で、文化、方法の多様性に触れ、「適切なコラボレーション方法を見つけるために競争するのではなく、新しい声に発言の機会を与えてほしい」と勧めた。
第9回配信は、デジタル神学グローバル・ネットワークの会長のジョナス・カールバーグ氏。デジタル技術の有効性とともに、課題として、少数のエリート中心、大量のエネルギー消費による環境負荷、二極化やフェイクニュースの拡散、技術から取り残された人の不平等などを挙げた。「人間たらしめているのは知的能力ではなく、人間の弱さであり、愛する能力を持っているというのも人間の弱さの一つ」と指摘した。
第10回配信は、デジタル宣教ネットワーク「Indigitous」の共同設立者サイモン・ソウ氏。世界中から人々を集めて、お互いに刺激し合い、協力する「ハッカソン」などの活動を紹介。
「すべての画面の背後には神に愛されている人がいる。神が私たちお互いを必要とするように設計された。団結して問題を解決し、新鮮なアプローチを進めたい」と話した。
第9、10回配信でニューマン氏はデジタル文化への福音宣教の文脈化を強調した。またデジタル技術に期待する一方、誤った情報の拡散には警戒した。
宗教以上に、性的コンテンツへの関心が高いというデータを示し、聖書に基づく性的な態度への信頼回復が、 福音への信頼感を強める」と勧めた。
第11回配信は人口動態について。特に若者人口の増加について、映画製作者のパール・ガンタ氏が語った。アフリカの子どもたちへの活動を紹介。「子どもたちは単なる(メディアの)消費者ではなく生産者であり、映画製作において大人同様に関与し、熱心に取り組んでいる。彼らはあらゆる種類のスキルを持っている」と語った。
孤児院の子どもたちの状況を伝える映像作品「I Need a Family」はオンラインで50万回以上の再生回数を獲得。この活動のために財団を設立した。「孤児たちが経験する抑圧のサイクルが断ち切られるまで、活動は完了しない」と述べた。
ニューマン氏は、南半球での若者の増加とともに、世界的な高齢化、中流層の増加に注目した。【高橋良知】
(2024年07月21日号 07面掲載記事)