【書評】後悔と自責―先に悩んだ者からの慰め 『月曜日の復活 』評・加藤満
毎週、教会に来てくださる書店員の方が私に勧めてくださった。「先生にぴったりな本ですよ」と。立ち読みをしながら、何だか手元に置いておかなければならない本のような気がした。買ってその日のうちに読んでしまった。何度も目頭が熱くなった。
本著は地域教会の牧師を経て、青山学院大学の宗教主事をしておられる塩谷直也先生がキリスト教伝道者に向けて書かれた本である。二部構成で、前半は講演録、いわゆる「スーツ姿で語られた言葉」が採録されている。後半はカウンターに腰掛け、「飲み食いしながらの言葉」と説明されているが、ご自身の説教の苦悩を赤裸々に語りつつ、同じ苦悩を抱える牧師への慰めと励ましが記されている。
講演の言葉はキリストに奉仕する者にとってのエッセンスを凝縮して語られている。なぜ御言葉を語るのか、愛するとは何を意味するのか。借り物ではない、ご本人の苦闘の末に与えられた知恵を、平易な言葉で分かち合ってくださっている。
ただ後半は前半の堅さから一転して、「金曜日の焦燥」「土曜日の憂鬱」「日曜日の混乱」などの章立てで、説教者の苦悩を取り上げている。私が惹
(ひ)かれたのは、先生の個人的な経験談である。それは形が違えども、私の苦悩の経験と重なるもので、読みながら「わかる!」と何度も唸(うな)った。そして先に悩みに悩んだからこそ得た知恵をもって、先生は伝道者を慰め、励ます。心が軽くなった。
牧師の苦悩は見えにくい。教会内外の奉仕に心砕き、毎週の説教に頭を痛め、日曜の晩には意味ある仕事をしたのかと自問し、「この働きをしていて良いのか」と不安に囚(とら)われ、月曜日は後悔と自責で死んだようにぐったりする。これは私だけのことではないだろう。
本著は牧師が「月曜日の復活」を迎えるための知恵に満ちている。苦悩する牧師、将来に不安を覚える神学生にこの本を取っていただきたい。願わくは後悔と自責でぐったりした時、手の届く場所にあってほしい一冊である。
(評・加藤満=日本イエス・キリスト教団名谷教会牧師)
『月曜日の復活 「説教」終えて日が暮れて』塩谷直也著、日本キリスト教団出版局1,540円税込、四六判
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