【書評】「閉塞」にもがく教会に聖霊の回復の後押し 『メソジスト入門 -ウェスレーから 現代まで-』評・坂本誠
この著書は、ジョン・ウェスレーとメソジストの関係から始め、現代のメソジストの抱える問題、そして未来予想図に至るまで、最新の研究と共に、わかりやすく整理されて展開されている著書です。エイブラハムは、先に『はじめてのジョン・ウェスレー』(藤本満訳)を出版されていますので、その第二弾となります。
この本では、メソジスト誕生の背景、メソジストと呼ばれる人々が実際にどのような人であったのか、メソジストのメッセージの特質、メソジストが、いかに「教会内教会」から「教会」になっていったのか、メソジストの実践の内容も詳しく述べられています。後半部分では、メソジストのもたらした社会的な聖性のインパクト、現代においてメソジストの抱える問題、信徒数低下の原因、その対策も描かれており、閉塞状態の中で苦しんでいる日本の教会にとっても、ヒントとなり、刺激を受ける内容になっています。
一読して、エイブラハム先生がいかにメソジストに精通されているか、学識の高さを理解できます。私が最も刺激を受けたのは、メソジストの未来予想図において、「まずその起源・メッセージ・実践・使命(ミッション)に関する自信を回復する必要があります」(188頁)という指摘です。その為にメソジストの特色であり「聖霊のパワーや後押しを体験すること」という指摘は、衰退が現状あるとしても、将来への可能性を感じるものでした。神さまがウェスレーによって起こされたメソジストには必ず新たな使命があり、大覚醒運動を生み出し、聖霊運動の発展の原点に位置するものであり、過去そうであったように、今後も必ず使命があることを確認できました。
メソジストがどのような教会かを知りたい初心者から、メソジストにかかわる教団に属している方々、専門の研究者まで幅広い範囲で納得させられる内容となっています。翻訳はとてもこなれていて読み易(やす)いです。最後に訳者による解説付きです。これを読むことによって皆さんは、更にメソジストを理解できることでしょう。翻訳してくださった先生方の御苦労に心より感謝したいと思います。
一つだけ指摘したいのは、ウェスレーがモラヴィア派と出会うのはアメリカに行く途中の船であり、帰国する(13頁)船ではありません。
(評・坂本誠=日本ナザレン教団下北沢教会牧師)
『メソジスト入門-ウェスレーから現代まで-』W.J.エイブラハム著 加納和寛・赤松真希訳 教文館 2640円税込 四六判
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