兵庫県芦屋市内のカトリック・プロテスタント10教会のネットワーク「芦屋キリスト教協議会(CCA)」が主催する、CCA講演会「明日をつくる知恵―教会のマネジメント」が11月16日、兵庫県芦屋市のカトリック芦屋教会を会場に開催された。神戸バイブルハウス協賛。
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最初に神戸バイブルハウス副理事長の大嶋博道氏(神戸ひよどり台教会牧師、神戸宣教協力会代表)が「キリスト教会協力の願い」と題して挨拶。教会間協力の意義を訴えた後、主題講演へ。
講演者は、2020年キリスト新聞社刊行の『教会のマネジメント―明日をつくる知恵』共著者の一人、島田恒氏(元関西学院大学神学部客員講師・経営学博士)。

講演する島田氏

まずマネジメントについて「企業がお金儲けをするための手法だとの誤解がある」とし、「組織が成果を達成するための営みであり、教会にとっては伝道・奉仕・共同体形成という使命を達成するためのもの」と定義づけた。その上で、以下のように述べた。
「伝道・奉仕のマネジメントは、社会や市民のニーズを見極め、ミッションと一体化させて提示・提供することが肝要。教会の強みは変わらざるミッションであり、卓越できる領域に重点的に力を注ぐことで、強みを活かした卓越性のある活動が可能になる。そのための具体的な活動内容や手法には、しっかりした戦略が不可欠。社会の真っただ中にある教会として、一般社会とのつながりをしっかり意識することが大切だろう」
「また、戦後の日本社会は『日本的経営』という世界的にユニークな共同体に支えられてきたが、そうした構造は希薄化している。だからこそ、教会という『居場所』としての共同体を形成することで、ほかにはない役割を果たすことができる。活動展開能力(Performance)と人間への配慮能力(Maintenance)によって決定される、様々な有り様のリーダーシップを発揮し、牧師も信徒も一体でマネジメントを充実させていくことが求められている」
これを受け、松谷信司氏(キリスト新聞社社長・編集長)が「教会刷新の実践的なヒント集」と題して応答。無牧・兼牧の増加、様変わりした教会様式、既存の教会の制度疲労といった現状をデータや事例に基づいて紹介し、「もはや一つの教会、教団・教派が付け焼き刃的に解決できる次元を超えている。変われる最後のチャンスではないか」とした上で、「進んでアウェイに行ってみる」「手段と目的を峻別(しゅんべつ)する」「私物化を避ける」「専門用語を意識する」の4項目を提言。組織論やリーダーシップの課題を指摘しつつ、「あなたのミッションは何ですか?」と問いかけた。
最後に、芦屋キリスト教協議会代表の川邨(かわむら)裕明氏(カトリック芦屋教会主任司祭、神戸バイブルハウス副理事長)が挨拶をし締めくくった。

2024年12月01日号 02面掲載記事)