過去訴訟、JEA経緯も共有 クリスチャントゥデイ控訴審被告報告会 根田氏上告へ
クリスチャントゥデイ([矢田喬大代表取締役社長]、以下原告)が根田祥一氏(クリスチャン新聞顧問、異端・カルト110番編集顧問、以下被告)に対して名誉棄損を訴えた訴訟の控訴審判決(本紙12月1日号参照)について、被告、弁護士、日本福音同盟(JEA)総主事らによる報告会が11月26日に都内で開かれた。同裁判は、クリスチャントゥデイが関与する張在亨氏を、「再臨のキリスト」とする「共同体」についての証言を集めたブログサイト記事と被告のSNS投稿に名誉毀損を問うたもの。
報告会には多様な教団教派、教会ネットワークの関係者が会場、オンラインで参加した。冒頭、被告担当弁護士の久保内浩嗣氏が、一審、二審を比較して解説。「一審の証言者の証言とブログ記事については、タイムラグがあり、認定されない事実もあったが、過去の実態として事実認定されているものもある。原告は大手を振って勝ったとは言えない」と述べた。
根田氏は「『張牧師が再臨のキリストであることが示唆された』ことが2人の脱会者の証言によって事実認定された。この認定には、2013年の山谷真氏に対する訴訟判決で提出された聖書講義ノートが援用された」など、一連の訴訟の意義を語った。
JEA総主事の岩上敬人氏は、04年、18年、今年8月、と加盟団体に報告してきた、「『クリスチャントゥデイ』の取材を一切受けない」対応の経緯を話した。「各教団教派からの12人の理事たちが討議し、決定してきたもの」と強調した。一審の判決を受けて、JEA前理事長、現理事長の、石田敏則、水口功両氏とともに、クリスチャントゥデイを受け入れてきた峯野龍弘氏(ウェスレアン・淀橋教会主管牧師)に面会した様子なども話した。
また05~14年までに、張氏が世界福音同盟(WEA)理事となり、人材、事務所、資金の提供をしたことについてJEAから警鐘を鳴らし続けたこと、WEAは体制変化し、昨年来日したWEA総主事から、張氏との関係断絶を確認したことなどを報告した。
会場からは多様な教会ネットワークにかかわる人たちから、発言があった。日本キリスト教協議会議長でもある吉高叶氏(バプ連・市川八幡キリスト教会牧師)は、個人の発言として、「搾取に直面している人のための告発は強い言葉になって当然だ。カルト的手法で強制、暴力、脅迫、呪詛(じゅそ)、権威付けのコントロールをするようなことは、小さな教会でも起こりうる。自戒して、主イエス以外の権威については相対化したい」と話した。
韓国の教会でもクリスチャントゥデイへの対応が分かれている実態、9月韓国開催の第四回ローザンヌ世界宣教会議などにもクリスチャントゥデイの取材が入っていたことなども話題になった。
統一協会などの霊感商法訴訟にもかかわってきた久保内氏は、「脱会者が個人で声を発するのは大変。ジャーナリスト、宗教者の役割が大切。どう情報発信するかも重要になってくる」と話した。
根田氏は今回判決で認定されなかった事実を問うため上告の手続きをしたことを報告した。最後に同報告会は、資料付きの声明(高裁判決報告会声明20241126_修正版)を発表した。【高橋良知】
(2024年12月22・29日号 03面掲載記事)