仙台バプテスト神学校校長 佐々木真輝

今日の日本における神学校の役割を「牧師や伝道者を育成し諸教会に送り出す」ものだと考え続けているなら、少子高齢化していく日本のキリスト教界とともに、多くの神学校が立ちゆかなくなってしまうのではないでしょうか。この危機的な状況に、私たちも神学校としてできることは何かと、強い意識をもって取り組んでいます。

仙台バプテスト神学校は、前身となる仙台夜間聖書学校、そしてバプテスト聖書神学校開校(1963年)以来、牧師、伝道者、信徒奉仕者を輩出して来ましたが、2000年前後に神学教育のあり方を大きく見直し始めました。地方の神学校としてこれからの時代にどのように諸教会に貢献できるか模索し、たどり着いたのが、当時ほとんど知られていなかった教会主体の神学教育(C-BTE=Church-Based Theological Education)です。

05年、当校は従来の学校教育型の神学教育から、教会主体の神学教育へと 〝パラダイム転換〟したのです(なお、現在も校名に「バプテスト」が含まれていますが、働きそのものは教派を越えたものです)。

教会主体の神学教育は、日本の諸教会が何の疑いもなく受け取って来た教会、宣教、聖書の西洋的な理解と手法を越えて、キリストと使徒たちの手法に立ち戻って聖書を読み直し、教会のあり方、神学教育、指導者育成、宣教に取り組む、完全なパラダイム転換の土台と言えます。

このパラダイム転換が必要だと私たちが確信するのは、近年ますます明らかになっている日本の教会の西欧的なあり方の限界と、ポストモダン社会からの問いかけに応答できるだけの聖書理解の必要性のためです。これは単に神学校教育のあり方や神学的・哲学的な机上の問題ではなく、まして経営の問題でもなく、この世に福音を証しする教会の、宣教の課題であると考えます、、、、、

2025年01月05・12日号 08面掲載記事)