1月7・14日号紙面:勝間としを紙上絵画展 「猫のつぶやき」
2010年に脳梗塞で倒れ、利き手である左手が使えなくなったイラストレーター、漫画家で、本紙連載漫画「ルッちゃん」の執筆者でもある勝間としをさん。だがその試練を乗り越え、絵筆をマウスに代え、右手で創作活動を再開。知り合いの依頼で猫の絵とつぶやき(言葉)を描き始め、フェイスブックにアップしたところ大反響を呼び、ある画商の目に止まったこともあって、今、月1回のペースで、各地の百貨店や書店で「猫のつぶやき」展が開かれている。その愛くるしい猫の絵と心温まる猫のつぶやきを、「勝間としを紙上絵画展」として公開する。
2018年年頭の「猫のつぶやき」展は、1月29日から2月12日まで、東京駅すぐの八重洲ブックセンターで、2月23日から26日まで、埼玉県川越市新富町のまるひろ百貨店本店川越10階特設会場で行われる。
この世界は、たくさんのものがあふれてる。
心が魅かれるものもたくさんあって、
いろんなものに目移りする。
それで、キミにとって大切なものは
見つかったのかいって、
もう1人のボクに問われて気がついたんだ。
本当に大切なものって、
そんなに多くはないんだよね、きっと。
河は海へと続き、その先は どこまで続くの。
空は雲の衣をまとい、その先はどこまで続くの。
たずねても上手く答えられないことは、
この世界にたくさんあって、
ならばボクの心も小さなことで悩んでいないで、
あの飛行機雲のように向きを変えれば、
この壁の向こうに夢が広がっていくかも知れないね。
初めて見るよな顔をして、キミはボクを見上げた。
ボクは前からキミを知ってるんだよ。
ずっとキミを見ていたんだよ。今、キミがココロを開くなら、
すでに開いたままになっているボクの部屋の扉も喜ぶのにね。
ボクは大好きな人から目を離さない。
大切な人を見失うと、ボクにとって大切なものまで
ボクの手から消えてしまう、
そんな心細い気持ちになる。それだけが恐いんだ。
久しぶりに穏やかな日をおくっていると、
あの嵐のような時が何だったんだろうと思えてくる。
今になって見えてくる。
ボクを見守ってくれたキミがいたことに。
キミのまなざしが。キミのエールが。
キミと出会って、ボクのココロの中の
境界線は自由にされて、
ボクは不自由さから解放されたよ。
だから今日もボクは無防備でいられる。
無防備過ぎて困るくらいね。