11月に開催される第2回日本青年伝道会議(NSD)へ向けて、日本伝道会議(JCE)の多様なプロジェクト担当者に、それぞれの視点で青年について聞いた。

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聖書、ビジネス2回日本青年伝道会議(NSD)に向けて① 
国際、環境 第2回日本青年伝道会議(NSD)に向けて②
 ○被災地での活動、世界との生きた出会い 第2回日本青年伝道会議(NSD)に向けて③

国家 若い命捨てる時代繰り返えさない
JCEプロジェクト「教会と『国家』」 柴田智悦

 先日、私の属する教団の教師候補者の研修として、靖国神社を訪れました。靖国神社は、戊辰戦争の時に、旧幕府側と戦って命を落とした官軍兵士の慰霊と、新政府軍の士気高揚のために、明治天皇によって造営が命じられた「東京招魂社」を前身とします。

 敗戦後は一宗教法人となりましたが、その目的が、国家(天皇)のために戦って亡くなった方の「顕彰」のためであることは変わりません。第二鳥居の両脇にある大燈籠に描かれている陸・海軍の戦闘場面のレリーフや、併設の遊就館の展示をみても明らかなように、靖国神社と戦争と天皇の密接な関係は切り離すことができません。

 アジア・太平洋戦争の敗戦に至るまで、靖国神社は軍国主義の精神的支柱であり、天皇中心の思想を国民に徹底的に教える教育施設でした。国家のために戦い、死後、神として靖国神社に祀られ、天皇に参拝してもらう、この論理によってどれだけの尊い命が無残にも戦場に散ったことでしょうか。遊就館の入り口前に設置されている、まだ幼さの残る顔立ちの特攻勇士の像を見ますと、将来のある若い命をみすみす捨てさせなければならなかった、無謀な国家の政策を思わずにはおれません。

 一昨年の天皇のビデオメッセージによって、皇室典範特例法が制定され、天皇の生前退位が決定しました。そして、一連の神道的儀式が国事行為として行われ、皇室行事とはいえ国費が充てられる大嘗祭によって、天皇の神格化が確立されます。昭和天皇の死去の時のような緊迫感も今はなく、憲法を大事にし、被災地を回り、戦地を巡行して追悼する平和的天皇の代替わりが粛々と行われ、当たり前のように元号が代わり、国民が天皇の「時」に巻き込まれていきます。

 かつて、神以外のものを神とし、戦争に加担してしまった教会の歴史を2度と繰り返さないために、批判的な目と想像力をもってこの時代を見ていくことが必要です。この国に見張り人として立てられている、私たちの使命を再確認させていただきましょう。

誠実 「神の愛の純潔性」思い出して
JCEプロジェクト「教会の誠実さへの変革」 大庭貴宣

 本プロジェクトは、日本の伝道に「正しい方向づけを与えるもの」また「倫理を与えようとすること」を目指しています。けれども、それは「正解を示す」ことや、「倫理的な枠組みを示し、逸脱する者を戒める」ということではありません。そうではなく、教会が向き合わねばならない事柄から目を逸らさずに、共に考える「場」を作り出すことに主眼をおいています。

 それでは教会が向き合わなければならない事柄とは何でしょうか。「偶像崇拝」それが答えです。どのような偶像崇拝か。「権力」、「成功」、「貪欲」、そして「性」に対する偶像崇拝です。 「権力」の偶像崇拝は、謙遜(Humility)に歩むとはどのようなことかを考えることと表裏一体です。「成功」は誠実(Integrity)に歩むこと、「貪欲」は質素(Simplicity)に歩むこと、そして「性」に関する罪は、神の愛の純潔性を保つことと表裏一体です。

 聖書が語る「謙遜」、「誠実」、「質素」何よりも「神の愛」を繰り返し再認識していきたいという思いを込めて、本プロジェクトは「教会の誠実さへの変革」と名づけられています。私たちが語る「変革」は、「これから新しく変えていく」という意味での変革ではありません。すでに神に新しくされた者として「他とははっきり異なる歩き方をする」という「決意表明」です。

   §   §

 第6回日本伝道会議では、前ローザンヌ運動総裁であるダグ・バーゼル先生を講師としてお招きし「権力」を取り扱いました。次に取り扱う内容は「性」です。この主題を取り扱う「場」を誰と持つべきか。今回、この主題を青年と共に考えたいという思いから、2018年10月1日に東京基督教大学教職セミナーと共同シンポジウムを計画しています。将来の教職者であり、青年たちとこの課題を考えたいと願います。その「場」にオープンな会話があり、「性」の課題にも触れられることを望んでいます。何よりも「神の愛の純潔性」を青年たちと思い起こす「場」になることを祈っています。

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