11月に開催される第2回日本青年伝道会議(NSD)へ向けて、日本伝道会議(JCE)の多様なプロジェクト担当者に、それぞれの視点で青年について聞いた。

前回はこちら→ 国際、環境 第2回日本青年伝道会議(NSD)に向けて②

災害 被災地で活動する青年たち 日本福音同盟 援助協力委員会 委員長 村上正道

 最近、日本において震災や水害などさまざまな災害が起こっています。その中で、多くの若い人たちが被災地にボランティア活動に出かけ、支援活動に従事しています。そして、彼らが口にするのは被災地に行って、自分の無力さを痛感させられたということです。自然の力の大きさに自分の小ささを感じさせられることもあるでしょう。また災害を通して日常生活が一変し、大切なものを失い失意の中にある被災地の方々を前にすると、この人たちのために一体自分は何ができるだろうかというような気持ちにさせられるのは当然のことだろうと思わされます。

 しかし、そのような中にあっても心を合わせて祈りつつ、被災者の方々に寄り添い、自分にできることをしていくことによって、始めは見慣れない宗教団体の人たちが来たと警戒していた人たちが、「キリストさん」とか「教会さん」と呼ぶようになり、今までになかった信頼関係が築かれ、そしてなぜ彼らはここまで一生懸命自分たちのために働いてくれるのだろうかと思いつつ、心を開いてくれるようになることも事実です。それは、一人一人の熱心で献身的な活動の結果でもありますが、それとともに主もともに働いて、ご自身の栄光を現してくださった結果です。

 それでも、自分のしたことは甚大な被害のあった被災地にあってどれほどの意味を持つのだろうかと思うことがあるかもしれません。一度や二度ボランティアに行ったことで何か役に立っているのだろうかと思うこともあるかもしれません。その時に私たちは次のみことばを思い出したいと思います。「まことに、あなたがたに言います。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、それも最も小さい者たちの一人にしたことは、わたしにしたのです」(マタイの福音書25章40節)。自分や周りが自分のしたことをどう思っても、神様が自分のしたことをおぼえ続けていてくださる、それで十分です。それが神様からの私たちに対する十分な報いです。

痛み 世界との生きた出会いの場を プロジェクト「痛みを担い合う教会」 若井和生

 東日本大震災の後、被災の現場にボランティアとして駆けつけて下さった方々の中に、多くの若者たちがいました。泥のき出しをしたり、支援物資を届けたり、イベントに参加したりする中で、被災された現地の方々と一緒になって泣いたり、笑ったりしてくれた若者たちがたくさんいました。

 彼らはそこで与えられた出会いを素直に喜び、感謝したことでしょう。同時に、人に仕えること、愛することの難しさを味わったり、被害の大きさの中にあって、自らの小ささ、不甲斐なさ、いい加減さを示されて思い悩んだ方々もいたようです。それら全部を含めて、被災の現場は人々に「生きた出会い」を提供する場所だったように思います。あの時の若者たちは与えられた経験を糧にして、今も各地で用いられていることと思います。

 そう言う私もかつて若い頃、フィリピンに行き、現地の凄まじい貧困や不正、社会悪に苦悩する人々の姿と出会い、衝撃を受けたことがありました。同時に、その中にあって福音を届け、神の国を提示しているキリスト者たちと出会い、励まされました。

 その経験は私にとって、教会がそこにあることの素晴らしさに目が開かれる機会でした。自らの信仰を改めて顧み、聖書をもう一度しっかり読み直したいと思わされた時でした。あの時の経験があり、今の私がいます。

 今、牧師になって思うことは、この世における苦悩や痛みは、私たちの足元にいくらでもあるということです。教会に集う信徒たちの生活の中に、様々な苦しみや痛みがあります。フィリピンや東北の被災地に敢えて出ていかなくても、私たちの宣教の場は、私たちのすぐ近くにあるのです。

 教会は若い人たちに、世界とのそんな生きた出会いを提供する場であってほしい。その痛みの中で人々に仕え、キリストの愛を示し、福音を大胆に伝える若者たちをたくさん育てる場所であってほしいと心から願います。

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