真備町の自宅水没した信徒 賛美ささげつつ救助待つ 教会信徒、OBJスタッフらで復旧支援
西日本豪雨で町全体の3分の1が水没した岡山県倉敷市真備町。クライスト・チャーチ倉敷(倉敷市黒石)は、教会堂への大きな被害は免れたものの、真備町に住む信徒、数家族は2階まで水に浸かった。同岡山(岡山市南区妹尾)、同愛媛(宇和島市三間町)=以上・木村由智主任牧師=の信徒たちの中にも多数の被害があった。クライスト・チャーチの多くの信徒がボランティアとして復旧作業を進める中、宮城県に拠点を置くオペレーション・ブレッシング・ジャパン(OBJ)からドナルド・トムソン代表、弓削恵則氏、伊東博氏の3人が一連の作業に共に参加し、真備町で被害を受けた信徒や、信徒家族のための復旧作業にあたっている。(レポート・南保真=クライスト・チャーチ岡山信徒)
賃貸アパートの2階に住むM夫妻の家では2階の床上よりも大幅に浸水し、家財道具ほぼすべてと自家用車一台が水没。アパートは壊滅的な状態となったが、M夫妻は浸水が始まる前の7月6日深夜から2人が勤める介護施設の利用者の救助にあたっていたため無事だった。水が引き、家に戻ることができたのは3日後の9日。後日の礼拝でM兄弟は「物一切すべてが一気に無くなり何ともやるせない気持ちになったが、私たち夫婦には見えない部分の神様の土台があったのでこれから先の不安は無く、これも神様がされたことなので夫婦で前に進んで行こうと。私たちの成熟のための一つだと思っている。皆さんの愛を受けて神様と皆さんに感謝しています」と語った。
2階建ての一戸建てに住むN姉妹宅も被害が大きく、7月7日朝から浸水が始まり、一気に水が押し寄せてくる中、甥のG兄弟と共に自宅2階へと避難。G兄弟は様々な経緯があり、大阪から真備町のN姉妹の家に身を寄せていた。N姉妹の誘いにより教会へと導かれ、イエスを信じ、今年6月に受洗したばかりだった。
押し寄せる水に恐怖を感じながら消防に連絡するも「大変な状況の所から回っていて当分は行けない」との応答。その直後に木村咲子牧師夫人から電話があり、「警察に連絡して、住所と名前を言ってあります。絶対に救助が来ますから」との言葉に2人は安心し、今まで体験したことのない災害の真中にありながら主に賛美をささげつつ救助を待った。そこにようやく救助に訪れたのは、N姉妹の実の息子だった。息子が会社の同僚とボートで駆け付け、無事2人の救出に至った。さらにG兄弟は、自身が救助された後すぐにN姉妹の息子と共に何軒もの家をボートで回り、救助を行った。
15日の礼拝の中でN姉妹は詩篇121篇を朗読し、「あなたはすべての災いから私たちを救い出してくださる。あなたのご計画は素晴らしく、あなたはいつも私たちと共にいてくださいます。イエス様、すべての栄光をお返しして賛美いたします」と祈りをささげた。
2階建ての一戸建てに住むT夫妻は、2階の浸水は免れるも1階がほぼ浸水。事前に避難していたため命は守られたが、1階と家庭菜園がある庭は大きな被害を受けた。酷暑の中で進む復旧作業だったがOBJの方々の助けもあり、泥に覆われた床や壁は高圧洗浄機や雑巾などで清掃され、順調に進みつつある。後日、T姉妹も礼拝の中で「目に見えるもの、実際のもの、価値あると思っていたものが無くなった時に、主が与えてくれた救われた命を心から感謝できた」と証しをした。
愛媛では、宇和島市吉田町が大雨のために、教会に来られている姉妹の家が土砂崩れで、家が崩落した。さらに三間町、増田町は浄水場が被害を受けたため、断水が続いている。愛媛教会の敷地内には2軒の家があり、その家は断水の状態だが、教会堂は断水の被害から守られている。
これらの大きな被害に合った兄弟姉妹の信仰姿勢を見て木村牧師は、「いちじくの木は花咲かず、ぶどうの木は実らず、オリブの木の産はむなしくなり、田畑は食物を生ぜず、おりには羊が絶え、牛舎には牛がいなくなる。しかし、わたしは主によって楽しみ、わが救の神によって喜ぶ。主なる神はわたしの力であって、わたしの足を雌じかの足のようにし、わたしに高い所を歩ませられる。これを琴に合わせ、聖歌隊の指揮者によって歌わせる」(ハバクク3・17〜19、口語訳)を引用し、「ハバククと同じ信仰の立ち位置に兄弟姉妹たちが立っているから」と被災された兄弟姉妹たちの信仰について語り、さらに「兄弟姉妹の真心から助け合う姿やOBJの方々の無償で働いてくださる姿を通して、未信者の方がキリストへと導かれる橋渡しになれば」とも語った。