05バルメン
カール・バルトら弁証法神学の試みは「神の言葉の神学」であり、それを背景にした「説教の闘い」としてバルメン宣言を紹介するのが 増補改訂「バルメン宣言」を読む 告白に生きる信仰(朝岡勝著、いのちのことば社 千620円税込 B6判)。同宣言は信仰告白を土台にしたものであり、ナチス下の状況を考えると、国家に対する第5項は「控えめ」にも見える。著者は教会を語る同じ語り口で国家の問題を語る同宣言の姿勢を評価する。現状「教会が政治を語ることばをもっていない」と指摘し、政治社会に対して、教会がイデオロギーの言い換えで発言する、逆に沈黙する、という両極端の態度に注意を払う。

06野生

 信徒の立場で日本社会にかかわろうとするのが 野生のキリスト教 自生・直結・増殖する神の民(福田充男著 千512円税込 いのちのことば社 B6判)だ。信徒に過保護な「水族館型教会」ではなく、インサイダー(文化内生活者)の視点で生態系(文化)に開いた「野生」の信徒を励ます教会の在り方を勧める。日本的、アジア的な霊的世界にいる人々の感受性にも注目。解説の西岡義行氏は、本書が言及する「神直結」や数字的予想などに注意を払いつつ、教会の形骸化にチャレンジを与え、議論を呼ぶと評価する。

07聖書信仰

 厳正な信仰告白に立ちつつ、多様な伝道方法に挑戦し、教会成長を目指してきた教会の歩みとして、『聖書信仰に基づく教会形成—西大寺キリスト教会の歩みを一例として』(赤江弘之 著 ヨベル 千80円税込 新書判)がまとめられた。同教会は、監督制から長老制へ移行、子どもの水難事故と、それによる伝道集会の困難などを乗り越え、理念、ビジョンを徹底した。開拓伝道や小グループ形成により、大教会と小教会の双方の性質を持つ。ローザンヌ運動などの包括的な宣教理解でチャーチスクールや介護NPOも展開する。

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