多様化する媒体、福音のことばは変わらず 拡張するジャーナル いのちのことば社 70周年記念事業

写真=いのちのことば社初の月刊誌「生命の糧」創刊号(1951年11月号)

いのちのことば社(以下ことば社)最初の書籍『唯一つの道』が1951年12月に出版されて以後、翌年11月までにことば社発行の書籍は10点を数える。そしてその同じ月には早くも最初の月刊誌「生命(いのち)の糧」が創刊される。10点の書籍はすべて翻訳、月刊誌も記名記事10本のうち7本が翻訳だが、そこにはいのちのことば社として発信したい「ことば」があふれていた。そしてその「ことば」はどこまで届いてきたのか。高度経済成長期のテレビコマーシャルのように、そこでひとたび情報が発せられれば、日本国中に行き渡ったような、夢の時代はとうに過ぎた。読者層の細分化、生活様式の変化、価値観・ニーズの多様化、どれもこれもメディアの数を増やしていく要素だが、それにことば社は、どのように対応してきたのか。現在に続く定期刊行物の変遷を中心に、いのちのことば社のメディア全体を概観する。

月刊「生命の糧」→「百万人の福音」→”BIBLE&LIFE”

福音はすべての人に必要だから

「生命の糧」創刊号の巻頭の言葉は、次のように始まる。
「毎月諸兄姉の読書熱をかき立てる新しい信仰雑誌が出現しました」。定価「二十円」、年間購読料「二百円(〒共)」で発売された新雑誌は、さらに次のように続ける。「本誌には日本並びに世界各地の信頼ある聖書的説教家によって寄稿せられた、興味深き、且つ有益なる記事が満載されています。然して純粋なクリスチャン文学の最高峰を行くものです」。「読書熱」という言葉からは、当時の「文書」全般が持っていたメディアとしての価値と、それに対する人々の飢え渇きが見て取れる。そしてもう一つ言えることは、この雑誌が「諸兄姉」に対して「クリスチャン文学の最高峰」を提供しようとの意図に基づいて発刊された、つまり、クリスチャンを読者対象としていたということである。
その「生命の糧」は、早くも3年後の54年11月には「百万人の福音」と改称する。「発刊の辞」には次のようにある。「生命の糧は主として信者を中心としたものですが、イエス・キリストの福音はあまねく伝えられねばなりません。(中略)敗戦のみじめさを味い、一切の優越感を奪われ、生きる指針を見失った多くの同胞の手許に本誌が届き、やがてこの愛する日本が霊的面における一等国とならんことを祈ります」。クリスチャンだけでなく、多くの人に届き、福音を伝えるための媒体としようとする思いは、すでに伝道用のトラクトは用いられていたものの、定期的に発信することの必要性を覚えてのことである。
以来66年にわたって福音を伝えてきたこの雑誌は、さらにリニューアルし、2021年1月号より「BIBLE & LIFE 百万人の福音」として、今まで以上に広範な人々に福音を届けようとしている。編集長の宮田真実子氏は「思いは一緒です。クリスチャンであるなしにかかわらず、聖書の福音はすべての人にとって必要なものであり、人の生き方、生活に直結するものであることを『あまねく』多くのかたに伝える雑誌でありたい。そう願い、手に取りやすいデザイン、ことばへと刷新いたします」。10本の新連載が予定されている。

週刊「クリスチャン新聞」

クリスチャンの生活スタイル
週刊で聖書信仰からの言論を

1967年創刊の「クリスチャン新聞」は、創業者マクビーティの「福音派の新聞を、クリスチャンのライフスタイルである週刊で」というビジョンから生まれた。60年には日本プロテスタント信仰同盟が発足し、新改訳聖書の翻訳も開始される中、聖書信仰の立場から福音派の言論を発信しようとしたのがその動機である。
2004年には判形をタブロイドサイズとし、手に取りやすさ、コンパクトな記事での読みやすさを求めたのも、読者からの要請である。紙媒体による発行を続けるのに加えて、12年からはパソコンやスマホのアプリで閲覧可能な有料の「クリスチャン新聞電子版」を発行するとともに、無料で情報を提供するサイト「クリスチャン新聞オンライン」を開設し、今に至っている。

月刊「福音版」→〝聖書をいつも生活に〟

聖書の価値観を世に発信

世の中で生起するさまざまな問題を聖書の視点から捉え、クリスチャンはどう考えるか、その価値観を提示していくことは、教会外への発信となり、伝道につながるとの意識は、クリスチャン新聞の創刊当初からあった。そして、その伝道の機能を特化させた新聞タイプのトラクトが、1974年8月から発刊された月刊「クリスチャン新聞福音版」である。当初は週刊新聞と同じ紙で印刷され、折り込みの体裁を取っていたが、後に独立し、コート紙別刷りのフルカラー版となった。
聖書からのメッセージと、各分野で活躍するクリスチャンの証しを掲載する編集方針は今日にまで引き継がれているが、2018年4月号からリニューアルし、「クリスチャン新聞福音版」の文字は残しつつも、題字を「聖書をいつも生活に」と大きく変えた。大きな文字の「クリスチャン新聞」は、教会外の人からは「自分とは関係ない」と思われ、「福音」の文字はなじみのない言葉として、伝道用のトラクトとしては、伝わるものが少ないだろうとの判断だった。

「クリスチャン新聞小学生版」→「月刊らみい」

同じく伝道という観点からは、そのターゲットをさらに絞って、子ども新聞として1975年11月にタブロイド判の「クリスチャン新聞小学生版」を発行した。翌年3月からは名称を児童伝道版「らみい」として月刊で発行を開始、85年には完全カラー化を経て、2002年からはA5判32ページのマンガ雑誌「月刊らみい」にリニューアルし、現在に至っている。
発刊当初は一般紙でも盛んに小学生新聞を発行していた。タブロイド判の「らみい」になっても、週刊クリスチャン新聞に載った証し記事を子どもにも分かるようアレンジするなどしてきたが、子どもの関心の変化に合わせてマンガ雑誌に生まれ変わらせた。

教会学校教案誌「成長」

子どもに聖書教育を系統立てて

教会学校教案誌「成長」の創刊は、1978年3月である。翻訳ものの子ども向け書籍や教材は少なからず出版されていたものの、日本で生活する子どもたちに語るにふさわしい内容、毎週系統立って聖書を教えられるカリキュラムを持った教案を求める声に応える形で、始められた。創刊以来、年4回の発行を続けているが、大枠は変わらない一方、誌面のリニューアルと、ワークブックや視覚教材なども充実させ、今年4月からはPDF版の教材もダウンロード販売している。 ディボーションガイド「マナ」は2009年9月に創刊された。神の御前に静まって、聖書を読み、黙想し、祈る|ディボーションの重要性が認識されるのにともない、教会からの出版への期待の声の高まりに応える形での、発刊の決断だった。
4年1サイクルの中で旧約、新約の各書を交互に読み進め、聖書全巻を通読できるように編集された日課は、聖書の本文が掲載されている利便性も受け入れられ、広く用いられている。15年からは、「成長」のカリキュラムに合わせ、週末は同じ聖書箇所から学ぶ工夫も凝らされている。
月刊「いのちのことば」は、もともと新刊、重刷の案内を「いのちのことば社出版ニュース」としてチラシのような体裁で配布していたものを、8ページから32ページにボリュームアップ、読書雑誌として内容も充実させ、1981年5月に創刊された。当時の表紙題字下には「キリスト者読書人に贈る」の文字が印刷され、大手出版社の読書雑誌に対抗しようとする編集者の気概がうかがわれる。そして「読書人」という言葉が、この当時はまだまだ生きていたことがわかる。

ディボーションガイド「マナ」

旧新約バランス良い聖書日課

月刊「いのちのことば」

キリスト教読書雑誌

教会学校教案誌「成長」の創刊は、1978年3月である。翻訳ものの子ども向け書籍や教材は少なからず出版されていたものの、日本で生活する子どもたちに語るにふさわしい内容、毎週系統立って聖書を教えられるカリキュラムを持った教案を求める声に応える形で、始められた。創刊以来、年4回の発行を続けているが、大枠は変わらない一方、誌面のリニューアルと、ワークブックや視覚教材なども充実させ、今年4月からはPDF版の教材もダウンロード販売している。 ディボーションガイド「マナ」は2009年9月に創刊された。神の御前に静まって、聖書を読み、黙想し、祈る|ディボーションの重要性が認識されるのにともない、教会からの出版への期待の声の高まりに応える形での、発刊の決断だった。
4年1サイクルの中で旧約、新約の各書を交互に読み進め、聖書全巻を通読できるように編集された日課は、聖書の本文が掲載されている利便性も受け入れられ、広く用いられている。15年からは、「成長」のカリキュラムに合わせ、週末は同じ聖書箇所から学ぶ工夫も凝らされている。
月刊「いのちのことば」は、もともと新刊、重刷の案内を「いのちのことば社出版ニュース」としてチラシのような体裁で配布していたものを、8ページから32ページにボリュームアップ、読書雑誌として内容も充実させ、1981年5月に創刊された。当時の表紙題字下には「キリスト者読書人に贈る」の文字が印刷され、大手出版社の読書雑誌に対抗しようとする編集者の気概がうかがわれる。そして「読書人」という言葉が、この当時はまだまだ生きていたことがわかる。

 

月刊「種まき」

宣教計画と祈りの宣教広報誌

「オリーブス」

クリスチャン生活カタログ

いのちのことば社宣教室が発行する「種まき」は、それまで発行されていた、「EHC」(全国家庭文書伝道協会)の「たねまき」(月刊)と視覚障害者に福音文書を提供する「福音点字情報センター」の「ザ・てんじ」(季刊)を統合し、リニューアルする形で2020年1月に発刊された。それにともない「子ども宣教室」「ゴスペルボックス」「バイブルラーニング」の働きの宣教計画・祈りの課題も加味し、ことば社の宣教広報誌として無料で配布されている。

同じく無料で配布されている媒体に「オリーブス」がある。2011年に創刊され、現在18号を数える「クリスチャン生活カタログ」は、いのちのことば社の書籍、CD、DVD、用品などを網羅。特にクリスマスを迎える時期には、全国の教会、個人顧客に送付され、店頭でも配布され、降誕の季節の備えに用いられている。

インターネット媒体

バイブルラーニング

2025年までに日本人口の10%、1200万人に福音を伝えることを目標にしていることば社にとって、その戦略的柱の一つとなるサイト。聖書に興味、親しみを持っている〝聖書親派(シンパ)〟を意識し、「聖書ってんどんな本?」「聖書の名言」「聖書をもっと詳しく」など、語句検索でサイトを訪れた人も含め、聖書の世界に触れる機会を提供する。
https://biblelearning.net/index/

WORD of LIFE

ことば社の様々な媒体に載った情報を、抜粋してウェブに掲載している。「3 分でわかる聖書・キリスト教辞典」「ノアの箱舟とは?」「バベルの塔とは?」などは閲覧上位。「クリスチャン新聞」や「百万人の福音」からの転載も。バイブルラーニングとともに、キリスト教のことを知りたい時の窓口。https://www.wordoflife.jp/

クリスチャン新聞電子版
https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/csdb/

クリスチャン新聞オンライン
https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/

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