日々葛藤と選択のさなかに置かれている一般社会で働くキリスト者に待望の書です。また、そのような方々を理解するために、牧師や教会奉仕者、宣教師にも必読の書です。聖書の正しい解釈を踏まえた上で、一般社会における職場での葛藤や矛盾について本音で語られています。
特に、著者自身や知人の失敗談は、社会人キリスト者に対する共感を示すとともに、寄り添う思いが伝わり、心が癒やされます。また、それを通して、罪悪感にさいなまれるのではなく、イエスにすがる思いへと一歩一歩導かれて行きます。仕事と信仰のミニストリーLIGHTプロジェクトの関西ディレクターである島谷知明牧師も、一般社会で働くキリスト者の目線で書かれていることに共感しています。
証券会社入社3日目で、「(職業選択に関する)神の御心を読み違えてしまった。僕の人生は、これからどうなるのだろう…」と、飛び込み営業の研修時に、仕事に対する葛藤が始まっています。私たちの「信仰と仕事コース」に来られる社会人キリスト者のほとんどが、自分の職業選択や職場に対して、疑問や悩みを抱えています。不当な要求、仕事の葛藤、会社や業界における矛盾などに日々どのように対応し、また自分の召しを確認していくかについて、著者の体験は参考以上のものです。
「しかし、約十年間の証券会社での仕事を通して分かったことは、『イエスは株式相場にも関心を持っておられる』という真理でした」と理解されました。体験だけではなく、聖書からの読み解きと神の視点がきちんと書かれてあるのが、この本のもう一つの大きな魅力です。その中でも、お金や資本主義に対する解釈は、様々な角度から検証されていて、解っていると思っている読者でも、もう一度確認する必要があるかもしれません。
著者は、最後に「職場の中でこそ、聖霊のみわざを体験できるのです。」と、社会人キリスト者が、神の召しに従って置かれた職場で、誠実かつ真摯に仕事をし、神にすがり続けて行くよう励ましています。
(評・サックス知子=LIGHTプロジェクト ディレクター)

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