路上生活者たちは横並びで礼拝

礼拝後、グループに分かれて分かち合い

東京・渋谷区の代々木公園の南門入口近辺で毎週土曜日朝月曜日午後、ホームレスの人たちに対する支援活動が続けられている。国内外のクリスチャンが関わる超教派のネットワーク「ココロケア東京」が開催している「通路チャペル」だ。

この支援活動は、新型コロナの感染が拡大し緊急事態宣言が出た2020年4月頃に土曜日を一時停止し月曜だけにするなどの時期もあったが、感染予防対策をしながら継続してきた。

12月26日土曜朝の通路チャペルを訪れた。礼拝は7時半からだが、20分前にはすでにホームレスの人たちが道路沿いに並び始めていた。

礼拝は賛美と祈りから始まり、通路チャペルの奉仕者の一人木村えいすけさんがメッセージ。「罪の報酬は死です。しかし神の賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです」(ローマ6・23)を引用し、「最後まで残るものは永遠のいのち。世の中がどうあろうと、永遠のいのちをいただき、唯一のまことの神に信頼すると、それが生きる力となり、希望が持てる。私たちの罪を贖ってくださったイエス様を信じて、永遠のいのちを受けてください」と語りかけた。

メッセージの後は六つほどのグループに分かれ、今日聞いたメッセージの分かち合いをした。その後、礼拝に参加した人たちに、袋詰めされたパンやお米、缶やペットボトル入りのコーヒーが手渡された。

5年前から通い続けているというTさんは経営者だったが、多額の借金で会社が倒産。「上昇志向に疲れ」、以来、渋谷区の美竹公園を根城に路上生活を続けている。

通路チャペルは、たまたまその近くを通りがかったことで知った。「人がいっぱい集まっているので、何かやってるなと。炊き出しには行かない、というプライドがあったがプライドだけでは生きていけない。通い始めて、なかなか現実に即した話をしているな、こちら側に立って話してくれてありがたいな、と思った」

2年前に信仰を持ち、教会で洗礼を受けた。クリスチャンになって、最初に「足るを知る」を学んだという。「どれだけお金を持っていて、すごいと言われたところで、結局、自分が傲慢になっているだけなのです」

通路チャペルは約13年前頃、韓国系アメリカ人宣教師が始め、その後、次々と牧師や宣教師が奉仕者が諸教会から加わり、「ココロケア東京」というネットワークを形成し、続けられている。現在の責任者は信徒の岡谷重雄さん(東京バプテスト教会員)だ。

目的は、①聖書のメッセージを伝えて、イエス・キリストによって人生に真の希望を見出してもらうこと、②路上生活者に寄り添い、交わり、食事やその他の支援を提供し、神の恵みを分かち合うこと。

感染拡大により、形態も食料の提供の仕方も変えた。感染拡大前、通路チャペルは一か所にひと塊になって集まり、礼拝していたが、感染予防対策として、ソーシャルディスタンスを保ちながら道路沿いに横並びになる形に変更。遠くまで音が届くよう、もっと音量が出るスピーカーも購入した。また飲み物は、コーヒーを自分たちで作って持っていき、紙コップに注いで配っていたが、感染防止のため今は缶やペットボトルのコーヒーを購入して配っている。

岡谷さんは、このコロナ禍で通路チャペルを継続できるか否かの瀬戸際に2度立たされたと言う。「契約しているセカンドハーベストのフードロスが減り、食料供給が減っていた。外資系スーパーのコストコからパンがもらえなくなっていた。そのため、食べ物や飲み物を自分たちで購入し、それらを保管する倉庫も借りなければならず、毎月16万円ものランニングコストがかかっている」

だが、この現状をフェイスブック上で訴えたところ、国内外から献金が届けられた。「この試練の中、神様が支えてくれた。必要なものを神様が与えてくださったと、奉仕者はみな感じている」

通路チャペルを通じて救われた人も多く、中には奉仕を手伝う人たちもいる。「イエス様はユダヤのホームレスの人たちや取税人の間を歩まれた。今日の日本社会のこの部分にもイエス様が働いておられる。日本の教会には、キリストの花嫁の一部としてここを意識してほしい」と、岡谷さんは願う。

活動の詳細はフェイスブックKokoro Care- Tokyo(URL https://www.facebook.com/KokoroCareTokyo/)で。

袋詰めされた食料を手渡す
配られたドライカレーや乾パンなど
コロナ禍により、缶とペットボトルのコーヒーが手渡されるようになった