「神が善であり、全能なならばなぜ悪が実在するのか」。このような「神義論」は、戦争や大量虐殺、黒人へのリンチ、震災、大津波、パンデミック、身近な人の突然の死…など、現実の不条理への問いだ。安易に回答ができない、牧会的、宣教的な問題でもある。
本書は、古代から現代までの「神義論」の様々なバリエーション(自由意志による擁護論、ソウル・メイキング神義論、プロセス神義論、十字架の神義論、反神義論)を網羅的に紹介。それぞれの論点とその成り立ちを整理し、長所、短所を指摘する。一つの論点を擁護するものではなく、それゆえ結論はない。ただ伝統的神義論を一掃しようとする現代の神義論に対して、過去との対話を促す。伝統的神義論への批判は、「観念的であり、現実の悪に対応できず、悪の存在を正当化している」というものだ。現代的神義論は実践的、霊性重視の傾向がある。

『苦しみと悪を神学する 神義論入門』
マーク・S.M.スコット著、加納和寛訳、教文館、3,960円税込、四六判

 

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