「困っている時に世話を」 三谷六郎さん(キングス・ガーデン創設者)

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写真=1978年12月10日号
世話人会
写真=1977年4月10日号
「主に仕えるように高齢者に仕える」を共通の理念として、高齢者福祉に取り組む日本キングス・ガーデン連合は、その理念と姿勢に共鳴する団体が全国に広がり、加盟・友好関係にある施設は現在79を数える。その歴史は、茨城県水海道市(現常総市)に日本で最初にできた経費老人ホーム筑波キングス・ガーデンの初代施設長だった三谷六郎・恵子(しげこ)夫妻に与えられた「引退牧師のための老人ホームを」というビジョンにさかのぼるが、そのビジョン実現の第一歩ともいうべき動きを、本紙1977年4月10日号が短く報じている。

「牧師の老人ホーム第一回世話人会」の見出しで掲載されたその20行ほどの記事は、そこに集まった人物として、安藤仲市島村亀鶴本田弘慈など、当時のキリスト教会のリーダーたちの名を挙げているが、この世話人会発足から働きが大きく前進していく。三谷さんは、老人ホーム建設の趣意書をガリ版刷りで作って、知り合いの教会、友人、知人を訪ねる中、賛同者を増やしていった。以降も新聞紙上では、老人ホーム建設のための協力が呼びかけられ、80年10月に「社会福祉法人日本キングス・ガーデン」は設立認可され、翌年4月に経費老人ホームがオープンする。

 今回三谷さんに話を聞く中で、2つのことを語ってくれた。1つは、新聞報道がホーム建設の追い風になったのに加えて、入居者が、関東圏だけでなく、東北・北陸・四国と、全国から集まったこと。もう1つは、新聞の記事がきっかけで、三谷さん自身が、重度の障害を持つ子どもの施設でボランティアをすることになった、ということである。

 三谷さんのビジョンは、主から与えられた「父なる神の御前できよく汚れのない宗教は、孤児や、やもめたちが困っている時に世話をし…」(ヤコブ1・27)のみ言葉によるが、最初は戦災孤児を引き取ることを考えていた。その道が閉ざされて後、老人ホームに導かれるのだが、依然子どもへの思いがあった三谷さんに、「重度精薄児施設“幸の実ホーム”建設へ」の記事(69年6月1日号)が目に留まる。茨城県東海村で、施設に入ることすらできない重度の障害を持つ子どもたちのホームを作ろうとしている村上喜義さんの記事だった。村上さんは、自給自足の生活をしながら子どもたちの世話をしていたが、「私は、村上さんのように、重度の障害者を愛して一生懸命戦っている方を、ボランティアや有志で助けていかなければならないと考え、協力していた」と、三谷さんは語る。「引退牧師にホームを」と根っこは同じ思いなのだろう。

 キングス・ガーデンは、筑波での取り組みが評価されるにしたがい、同じ理念に立つ法人、施設が起こされ、さらに既存の団体が加わることによって、現在の日本キングス・ガーデン連合を形成してきた。その理念を確認し、問題を共有し合い、介護技術の向上をもめざす「連合研修会」の第26回が9月に大阪堺市で行われる。高齢社会の中で、地の塩、世の光として仕える働きが、大きな実を結んでいる。【髙橋昌彦

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クリスチャン新聞は、1967年5月にそれまで月刊で発行されていた『福音ジャーナル』を母体に創刊し、日曜礼拝を中心とするクリスチャンの生活サイクルに合わせ、同年11月からは週刊で発行してきました。

50周年を迎えた2017年には、4回の特集、2回の記念集会を実施しました。改めてこの50余年の報道の歴史を通して、戦後の諸教会の宣教の一端をご覧いただければ幸いです。

※毎週火曜、土曜に本オンラインで掲載します

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