ロシアによって侵攻されたウクライナは、メノナイト・ブレザレン教会のルーツだ。アナバプテスト(再洗礼派)の流れをくむメノナイト派は、18世紀末、ロシア皇帝の招きで、「信仰の自由」「兵役免除」の特典とともにウクライナ入植を開始した。ドイツ敬虔派説教者による霊的覚醒を受けて1860年にメノナイト・ブレザレン教会が誕生した。

 

こちらも参照 → シリーズ●教団・教派を知る 日本メノナイトブレザレン教団 神の救済の物語に応答する2021年11月13日

その後、ロシアが「兵役免除」の特典を撤回したため、1万8千人以上が米国、カナダに移住した。ロシア革命、飢饉(ききん)、2回の世界大戦中の迫害と虐殺を経験し、米国、ドイツへの移民が続いたが、現在もウクライナで教会が続く。世界のメノナイト派の組織は、祈りと支援を呼び掛けている。

ウクライナには、メノナイト・ブレザレンをはじめ、11のアナバプテスト系教会と約500人の信徒がいるという。日本メノナイトキリスト教会協議会はホームページ(http://www.mennonite.jp/)でメノナイト世界会議のネルソン・クレイビル会長による3書簡を2月25日に翻訳紹介した。

1月28日書簡では、2014年のロシアによるウクライナ東部交戦時、メノナイト・ブレザレン教会の指導者が平和構築に取り組んだことを紹介した。

侵攻後の2月25日書簡では連帯の思いを伝えるとともに、霊的・財政的支援を約束した。
27日にクレイビル氏は、ロシア正教会総主教に向けて書簡を送った。キリストの体が分裂することを憂慮し、総主教に、ロシアのキリスト教指導者として平和の福音のために大胆に発言し行動することを求めた。

1920年からウクライナの困窮者支援を実施してきたメノナイト中央委員会は24日、国内避難民の援助を始め、寄付を募った。メノナイト・ブレザレン国際共同体も祈りを呼び掛けた。
メノナイト派の情報を伝えるメディア「アナバプテスト・ワールド」は26日にメノナイトの教会や機関の本拠地であるウクライナ南東部モロチャンスクがロシア軍に占領されたことを伝えた。現地スタッフは、地下室を爆弾シェルターとして住民に提供した。

米国、カナダを拠点にするメノナイト・ブレザレンの国際宣教グループ「マルチプライ」は3月1日、現地とヨーロッパのリーダーと連絡をとり、祈りと支援の要請を受けた。現地と周辺国では住民、難民の支援活動が始まっている。

現地スタッフはロシア軍に占領された欧州最大の原発があるザポリージャに拠点をもっていた。

「アナバプテスト・ワールド」によれば、現地スタッフは、教会の信徒は散らばっているがオンラインでつながっていること、従軍チャプレンによると兵士たちが祈っていること、市民が武装化していることを報告。メノナイトは絶対平和主義を掲げるが、「一部の人々が機関銃を手にすることを選択した場合、私は彼らを非難しない。ただ『(銃を取って)戦争のただ中に入ったら、その責任は負うことになる』と伝えたい」と述べた。

 

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