アジア福音同盟女性委員会・子ども委員会主催による「D6ファミリーカンファレンス」が6月9日から開催され、基調講演と共に多くのセッション、ワークショップ(WS)が行われた。その内容を連載で紹介する。第3回は、かつて無神論者であったキャロル・バーニール氏による「クリスチャン両親と信仰・教会から離れる子どもたち」。一度神から離れ、立ち返ったユニークな経験に聞く。
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牧師の家庭に生まれた私は、聖歌隊で熱心に奉仕していたが、10代後半で無神論者になった。理由は、牧師家庭の問題や親子関係ではなく、何より信仰が自分自身のものとなっていなかったこと。自立した信仰者に必要な、聖書や信仰についての疑問を受け止め答えてくれる人は周囲にいなかった。聖書に疑問を持つこと自体快く思わない人もいるだろうが、子どもたちにそのように接するなら、彼らは「神は疑問を受け止められない、もろい存在なのだ」と考えるだろう。一緒に答えを探すのが良い。神はこれまで何千年間も、人々の疑問に対処されてきた方なのだから。
自分と神は関係ないと考え、あるいは神の存在自体を認めていない人は大勢いる。テレビの中の著名人らも無神論を公言しているが、筋の通った世界観を求めたかつての無神論者と違い、彼らは肩肘張ったところがない。冷笑主義がまん延し、神を信じるなど浮世離れしていると思われるような現代社会で、教会の若者たちが信仰を失わないよう、どう備えるべきか。
第1は、親たちを励まし、根拠のない罪悪感から解放すること。完璧な親が完璧な子どもを作るのであれば、アダムとエバは罪を犯さなかった。それが分かれば、子どもの過ちの責任がすべて親にあるという自責の念から解放される。
第2に、子どもや若者にキリスト教弁証論を教えること。今は以前なかったあ素晴らしいカリキュラムがある。それらを用い、信仰を確かなものにし、疑問を投げかけてくる若者との対話に備えよう。確かに、多くを学んでも最終的には「知識から信仰への飛躍」が必要になる。だが、学びによりそれはずっと容易になるはずだ。聖書や信仰についての裏付けや弁明の仕方を学ぶことで、神を信じない人々の関心を糸口に、彼らが避けている聖書の真理を伝えられるだろう。
第3に、主イエスご自身に導いていただくこと。対立しがちな問題についても意見を押しつけず、真理を見出せるよう寄り添う。それには時間が必要だ。人が成長できるよう導いてくださる主を信頼し、祈って委ねよう。 信仰に批判的だったある大学教授は、一人の牧師から届いた敬意に満ちた手紙がきっかけで信仰に導かれた。信仰を否定する人たちを、理解を持って受け止めること、このような実践をするクリスチャンたちこそ必要とされている。そこには主がおられ、彼らは傷ついた世界と関わることができる。聖書は「穏やかに敬意をもって」弁明するよう勧めている。
いくら親が子どもへの影響力を持っていたとしても、信仰を強制することはできない。だが、「みことばには足がある」と言う。幼い頃に培われたクリスチャンとしての価値観が、再び彼らをとらえる時が来る。若者が真理を求め、天を見上げる瞬間を主は見ておられ、彼らに走り寄ってきてくださる。教会から離れてしまった子どもを持つ親たちに「まだ終わりではない」と伝えよう。すべての放蕩息子たちに、希望の光が届きますように。

クリスチャン新聞web版掲載記事)