「日本伝道会議」とは何か 来年第七回開催 振り返るJCE6以前、以後
第七回日本伝道会議(JCE7)が来年、9月19〜22日、岐阜県岐阜市の長良川国際会議場で開催される。今年9月19、20日には「一年前キックオフ大会」も開かれる予定だ。
日本伝道会議は、聖書を「信仰と生活の唯一の規範となる神のことば」と信じる福音的な教会の宣教協力のために、1974年から数年おきに開催されてきた。国内外の宣教協力の潮流を受け、第一回の「京都宣言」以降、第五回の札幌開催にいたるまで、各宣言が出され、第六回の神戸開催では、15のプロジェクトから宣教のロードマップが提出された。
以下、各会議の宣言、JCE6からの主な経過を関連事項、資料、書籍とともにまとめる。
◆各伝道会議宣言文
第1回日本伝道会議 京都宣言(1974)
第2回日本伝道会議 京都宣言(1982)
第3回日本伝道会議 塩原宣言(1991)
第4回日本伝道会議 沖縄宣言(2000)
第5回日本伝道会議 札幌宣言(2009)
第6回日本伝道会議(2016)に提出されたロードマップは『再生へのリ・ビジョン 次の伝道会議〈2023年〉へのロードマップ』(第6回日本伝道会議実行委員会編、いのちのことば社)に掲載している。
◆JCE6からの主な経過
▶JCE6の概要
JCE6は、神戸市で開催され、全国の多様な教会、団体から2千人以上が参加した。主講師には、第3回ローザンヌ世界宣教会議で「ケープタウン決意表明」の主筆を務めた、世界的な旧約学者クリストファー・J・H・ライト氏(ランハム・パートナーシップ国際総主事)が立った。
従来講師の話を一方的に聞く「劇場型」だった座席は、各グループごとにテーブルに着く形式となり、「コイノニア」として、大会を通じて、対話を深めた。
ライト氏の関連書としてジョン・ストット氏との共著の『今日におけるキリスト者の宣教』が、日本宣教全体のデータ分析については、『データブック日本宣教のこれからが見えてくる キリスト教の30年後を読む』が刊行された。
15のプロジェクトを中心に多様な分科会、宣教大会、ツアー、青年大会なども開かれた。
開催地プロジェクトとして「コイノニア・ネットワーク@神戸」が立ち上げられ、6つのアナロギア(日本福音同盟専門委員会と相似の委員会)とコイノニア(今大会の奉仕者募集と訓練を通して発掘された良い人材)が期待された。
15プロジェクトは、
①聖書信仰の成熟を求めて、
②日本社会と教会:地域に開かれた教会に向けて、
③教会と「国家」―戦後70年に際して、キリストの平和をつくり出す者となるために、④持続可能な社会の構築、
⑤災害対応を通して仕える教会、
⑥ファミリーミニストリー、
⑦ディアスポラ宣教協力、
⑧ビジネス宣教協力の次世代構想、
⑨教会開拓、教会増殖[宣教]、
⑩痛みを担い合う教会、
⑪青年宣教、
⑫子ども、
⑬日本宣教170▼200、
⑭宣教協力とそのインフラ造り、
⑮教会の誠実さへの変革
▶JCE6後からの主な経過
クリスチャン新聞web版検索「日本伝道会議」を参照
各プロジェクトは、日本福音同盟(JEA)の6委員会(神学、社会、援助協力、女性、宣教、青年)に対応するものも多く、各員会の働きと連動して、取り組みが展開された。
「コイノニア・ネットワーク@神戸」は、継続的な集会、セミナーなどを実施し地域の宣教協力をつなげた。神戸青年アナロギア委員会も定期的な集会を開催した。17年には改めて「JEA宣教フォーラム@KOBE」が神戸市で開催された。18年に関西7神学校協力が試みられるなど、地域の宣教協力に刺激を与えた。
JEA宣教委員会は、宣教フォーラム、宣教研究、異文化宣教ネットワーク、の3部門に再編。研究部門は、教会アンケートなどを実施して、データ収集、分析、情報発信をした。
異文化宣教ネットワーク部門は在外日本語集会や国内外国語教会のネットワーク形成に努めた。定期会合「ひろばグローカル」で広く情報共有をしている。複数の外国語教会合同のネットワークによる、エスニック・ミニストリーズ・ネットワーク・ジャパンが17年に設立され、これに協力した。収容者の劣悪な環境下での死や入管法改正が問題になる中、国内難民支援などについても連携した。
19年には、「九州宣教フォーラム2019」。20年には、「コロナ禍で、宣教について考える」をテーマに、オンラインによる「宣教フォーラム」が開催された。「宣教フォーラム福島2021」が開催され、東日本大震災から10年を振り返り、宣教の在り方を議論した。
17年に、9年ぶりに「東海宣教会議」が開催され、地域の宣教協力が意識される中、18年のJEA総会で、JCE7の開催地を「東海地域」と決定した。21年に岐阜での開催が発表され、「2年前大会」がオンラインで開催された。東海の開催地委員会からは「東海の宣教の歴史」が回顧展望された。
神学委員会は『「聖書信仰」の成熟をめざして』を17年に刊行。日本福音主義神学会および各部会でも21年に「キリスト者の成熟」がテーマにされ、教会、社会、文化が議論。東部部会ではLGBTQについて話題になった。
社会委員会は、19年の「天皇代替わり」など信教の自由にかかわるテーマについて、神学、女性、青年各委員会と協力した催し開催やブックレット作成をした。コロナ禍と教会のテーマも取り扱った。
防災分野では、九州キリスト災害支援センターが中心となって、『「キリストさん」と呼ばれて 支援の現場から宣教を考える』が18年、『「キリストさん」が拓く新たな宣教 災害大国日本に生きる教会と共に』が19年に刊行された。各地の教会災害ネットワークが協力し、「キリスト全国災害ネット」が19年、「クリスチャン防災士ネットワーク」が21年に発足。セミナーや会合を継続するほか、相次ぐ災害対応にネットワークが生かされた。
環境のプロジェクトからは、新たに「『福音に生きる持続可能な社会』をめざす環境コンソーシアム」(聖書的環境コンソーシアム)が設立され、情報発信やセミナー、シンポジウムなどを開催した。『聖書とエコロジー』の著者リチャード・ボウカム氏の講演会には幅広い参加者があった。
教会開拓の分野では「教会増殖ビジョンフェスタ」など定期的集会で、国内外の開拓の事例を共有した。『教会増殖 日本という土壌に福音を満たす』というテーマの本も19年に刊行されている。地方宣教に関して、『痛みを担い合う教会 東日本大震災からの宿題』が17年に、教会と福祉に関して、『社会に開かれた教会 地域の福音となる新たな一歩』が19年に出版された。
18年には第二回日本青年伝道会議が開催された。子どもプロジェクトを担った「4/14の窓」は、教会における青少年のアンケートを実施。国際大会の参加や、地域ごとの集会でネットワークを広げた。
女性委員会が実施していた、「かたり場」は、コロナ禍をへて、オンラインで幅広い参加者に広がった。女性、子ども、青年にかかわる幅広いテーマを考える場として21年には「ファミリー・ミニストリーサミット」を開催。アジア福音同盟D6ファミリーカンファレンスに、JEAとして積極的に協力した。
「ビジネス宣教協力の次世代構想」はANRC、日本ローザンヌ委員会のR&D部門とかかわりながら国内外の潮流の情報収集、対話に努めた。
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